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プロローグ
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朝霧グループ。
日本どころか世界にも上場する超大型の総合系列会社だが、そのCEOを務める朝霧一―あさぎりはじめ―はその女癖の悪さから無責任にも多くの息子、娘を複数の女性に生ませていた。
だが、朝霧一はその有り余る財力からそのすべての息子たちの将来を確約することができたので、そのことが公になることは無かった。
そして殆どの子供たちとその母親は、元凶である朝霧一に頼る事になったとしても、幸せで安定した生活を送る事を望んだが、本当に一握りの母と子が死ぬことを望むこともあった。
そういった母子の選択は主に母親の決断によるところが多かったが、子供はその母親が居なくなったときに果たして何を望むのだろうか。
一人になったとしても構わず生き続けるのか。
自分の生き方に、或は存在に疑問を感じるのか。
はたまた命を絶ってしまうのか。
多くの子供たちが、複雑にして多様な選択を強いられた。
その中でも特に、他に例を見ない選択をしたある双子が居た。
異国の女性との間に生まれたその双子は美しく、愛らしく、そしてどことなく、儚かった。
「「永遠に二人きりで、生きていきたい」」
二人は世界経済にすら影響を与える事の出来る人物の前でこう言った。
対して男は淡々と訊き返した。
「永遠に、というのは?」
「可愛いこのままの春と、ずっと生きていたい」
「綺麗なこのままの樹と、ずっと生きていたい」
双子故なのか、お互いを賛美することに一切の躊躇を感じさせない口調で答える。
男の様子は変わらない。
「分かった、叶えよう。
だが、不老の望みが叶えども命が減る事に変わりはない。
お前たちが死ぬまでに、不死の望みが叶えられるかどうかは保証できない」
「「それでも良い」」
「樹が死んだら」
「春が死んだら」
「「僕も死ぬから」」
二人がお互いに抱く愛情は、家族に対するそれでは無い。
男はそのことに気付いたが、違和感はなく、嫌悪感を抱くことも無かった。
まるでそれが自然の摂理であるかのように、当たり前のように二人はそこに存在した。
男は変わらず淡々と尋ねる。感情の介入を拒むかのように。
「なら良い。
二人きりというのは?」
「「・・・」」
双子の発言が初めて止まった。
「何だ。言え」
ほぼ無制限に要求を聞いていた男の声色に、初めて苛立ちが含まれた。
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