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謝罪
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一日に俺は何度気を失うのだろうか。
一度目は薬品、二度目は手刀、三度目は痛み。
目を覚ました俺は、見覚えのある天井を眺めてそんなことを考えていた。
ふと、扉の開く音がする。
「イチ様、夕食の準備が出来ました。ご案内致しますので起きてください」
手足の拘束は外れていた。
だが抵抗することの無意味さと恐ろしさを教え込まれたからだろうか、逃げる気にはならなかった。
「いらねぇ」
「ご命令ですので」
「いらねぇって伝えてみろ、どうせ気にしねぇよ。遊びたくなったらあっちからくんだろ」
もう色々とどうでもよかった。
来るなら来いと思った。
抵抗はしないからもう好きにしろと、そう思った。
「かしこまりました」
三番が部屋を出て行く。
何だよあの爺も、あのガキども止めねぇのかよ。
何なんだよ、俺が何したんだよ。
結局何で連れて来たかも言わねぇでよ。ははっ、何だこれ。
目じりから暖かい液体が流れだす。
気が付くと、俺は泣いていた。
いきなり連れてこられて、馬鹿っつっただけで手刀食らわせられて、金槌で殴られて、爪剥がされてよ・・・ほんと、何なんだよ。
俺は暫く涙を拭う事もせず、知らぬ間に包帯の巻かれた左手を眺めていた。
そして今日何度も聞いたのに、一つとして良い思い出の無い音がする。
「イーチっ、ご要望通り遊びに来たよー。ほら、春もおいで?怖くないから」
「え、で、でも怒ったんでしょ?樹、大丈夫だった?」
「僕?僕はへーきっ、強いもん。あ、そうだイチさ、春に言う事あるよね?」
俺は上半身を起こして言う。
「・・・悪かった」
「は?」
少し低くなった樹の声色に身体が強張る。
「あ、いやだからその、馬鹿っつって悪かった」
「何それ、謝ってるつもり?」
俺の背筋に冷たいものが走る。
え、あ、ど、どうすればいいんだよ。どうしろって言うんだよ。
「土下座でしょ普通」
俺は迷わずベッドから降りて膝をついた。
「わるか」「だぁかぁらぁ」
がっ
下げた頭を思い切り蹴られた、発言からして多分樹に。
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