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春樹
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「ふぅ、思ったより難しいねこれ、力の加減が・・・お、春見て見て、ほら綺麗に付いてる」
「・・・あ、ほんとだすごぉい、綺麗に『樹』って入ってるね、僕のも上手くできるかな」
「も・・・やめ・・・」
「うーん、大丈夫だとは思うけど、樹先生から一つアドバイス。
力を入れすぎると多分文字の周りまで焼けちゃうから、でっぱてるところが丁度当たるくらいに加減してね」
「・・・おねが・・・しま・・・から」
「なんか、難しそうだね。ねぇ、樹やってくれない?」
「やめ・・・めて・・・さい」
「だめだよ。イチが僕と春のだって証拠なんだから、二人でやんないと」
「もう・・・くださ・・・」
「んー・・・分かった、やってみる。でも見ながら気になるところとかあったら言ってね?」
「やめ・・・やめ・・・」
「うん、それじゃあまずは鉄板を赤くなるまで火であぶらないと」
今度は先ほどとは逆に樹が持った鉄板に春が火を当てていく。
「樹、このくらいかな」
「そうだね、はい、それじゃあ頑張ってね」
樹から鉄の棒を渡された春は、真剣な表情で俺の二の腕を見る。
「樹の文字のすぐ横が良いな、えぇっと、ここ、かな?」
「ふふっ、春ったらかーわい。うん、その辺で良いと思うよ」
「よぉし、じゃあイチ、行くよ」
「やめ、て、もう、や、めて、くだ、さ˝あ˝あぁっあ˝あ˝あっ」
同じ音、同じ匂い、同じ痛み。
違うのは、耳元で響いた樹の声だけだった。
「イチ、さっきの続き話してあげる。
イチはね、僕らが死んだら帰ることはできるよ。でもね、イチはずーっと僕達のものなの。
その証拠にほら、名前、書いてあげたでしょ?ふっ、ふはっ、あははっ」
樹が囁いた言葉が心に張り付いた。
痛みが消える。他の何かも。
「樹ぃ、そろそろいいかな?」
「ふっ。んん。うん、いいと思うよ、あげたらすぐに足元のホースで水を掛けて」
「うん、分かった」
春は先ほどの樹の様に、俺の腕に真剣な表情で水を掛ける。
「あ、樹っ、樹っ、綺麗にできたよっ」
「おーほんとだ、僕の隣にちゃんと『春』って書いてあるね」
俺の腕には『樹』と『春』二つの焼き印が押された。
「これでイチはずーっと僕達のものだよ、春」
「うん、樹と僕のだね。ずーっと」
二人はそのまま軽いキスを交わし始める。
そんな光景を視界の端の入れながら、俺は何も考えられずにただじっと天井を見ていた。
数分後地下室のドアが開く。
「ご主人様、片づけは私がしておきましょうか?」
「あ、うん。よろしく。ついでにイチもベッドに運んでくれる?」
「かしこまりました・・・樹様、恐れながら一つお聞きしてもよろしいですか?」
「なーに?」
「イチ様にまだ何かされるおつもりですか?」
「そうだけど?どうかしたの?」
「これ以上は流石にイチ様が精神的に持たないかと」
「持たないって?」
「けがを治療することはできますが人間の心には防衛本能というものがありまして、それが一度作
用してしましますと何をしても何の反応も無い、いわゆる植物状態になってしまう可能性もございます」
「ふぅん・・・エッチもダメかな?」
「そうですね、程度にもよるかと思いますが。
痛みをお与えになるならば今日はもうお控えになった方が宜しいかと」
「んー、分かった。無理やり入れるのはまた今度にするよ。
教えてくれてありがと、三番」
「恐れ入ります」
「それじゃあ後始末だけしてくれる?」
「かしこまりました」
三番は俺の身体を拘束台から外すと、そのまま部屋の外へと抱えて連れて行った。
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