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信頼
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合理的に考えて、その判断が正しいのかは分からない。
もしかしたら三番がそうなるように誘導したのかもしれない・・・双子の指示の下で。
しかし話を聞き終えた俺は、ゆっくりと頷いていた。
「ご勇断、感謝致します」
三番は一度深く頭を下げると、その後は丁寧に俺の身体を清めていった。
「・・・イチ様、不快かもしれませんが部屋までは私が担いでお運びします」
「歩いて戻れる」
「承知しております。
ですがお二人の前に健常な姿をお見せになると、行為を強要される恐れがありますので」
俺は風呂場に来る前の樹の言葉を思い出した。
『無理やり入れるのはまた今度にするよ』
「・・・はぁ、分かった」
「失礼します」
三番は俺の事を担ぎ上げると、力を抜いて意識を飛ばしたふりをしろと言った。
俺は腕を垂らして、目を軽くつむった。
暫く揺さぶられると地下室の前に着いたのか、三番が声を掛ける。
「ご主人様、イチ様の処置が終わりましたが入ってもよろしいですか?」
「はっ、んっ、三番?良いよ」
部屋の中から聞こえた樹の声は何故だか少し息が切れていた。
「失礼します」
部屋の中に入ると、匂いと音でその原因が分かった。
「んっ、ん、はっ、はぁ、春っ、気持ち良いっ?春っ」
「あっ、あっ、うっ、うんっ、いいっ、樹っ、良いよっ」
ベッドのスプリングがきしきしと軋む音と、ずちゅっ、ずちゅっ、という水音。
そして肉同士がぶつかるような乾いた音、湿った声、独特な匂い。
美しく残酷なこの屋敷の二人の小さな主人が、その華奢な身体を重ねているのは目を開くまでもな
く分かった。
「んっ、はっ、春っ、僕っ、もうっ」
「う、んっ。僕も、いきっ、そうっ、んんっ」
二人の力んだ声が聞こえ、水音が止まる。
「・・・はぁ、気持ちよかった」
「うん。僕も」
今度は軽いリップ音。
「ん、ふぅ、三番。イチこっちに連れて来て」
「かしこまりました、ですが既に意識はありませんが」
「良いよ別に、入れるのに問題ないでしょ」
「ふぇ、樹ぃ、もう一回するの?」
「うん。春が二人で一緒に入れたいって言ってたから折角だし今しよっかなって・・・疲れちゃった?」
「んー、ちょっと」
「そっか、ならいいや。ゆっくりしよ」
「うん、ありがと。ね、もう一回キスして」
「良いよ。あ、三番。イチは・・・どっか適当な場所に置いといて」
「かしこまりました、失礼致します」
俺を担いでいるからか一礼は省略し、そのまま後ずさりで部屋から出て行く。
そして扉が閉まった音を聞いた俺は薄目を開けて部屋の外に居るのを確認し、口だけを開いた。
「おい」
「何でしょう」
「今危なかったろ」
「そうですね」
「ぶん殴るぞてめぇ」
「殴りたければ、殴っていただいても構いません」
予想外の返答に目を開くと、三番は前を向いたまま、笑っていた。
「マゾなのかてめぇ」
「おや、見られましたか。一応否定しておきます」
「一応ってなんだよ、何で笑ってたんだ」
「分かりません、自分でも驚いております」
「驚いてるようには見えねぇが」
「もしかすると・・・嬉しいのかもしれません」
「あ?」
「私はここに来て、もう、十年以上になりますか・・・正直、まともな会話をするのはかなり久しいものでして」
「十年?・・・いや、は?あいつら何歳の時からここに居るんだよ」
「確かお二人とも丁度十五歳になられた頃だと記憶しております」
俺の頭は急に混乱しだした。
「いや、おいちょっと待てよ、爺はあいつらの面倒見る前に、ここで他の誰かの面倒も見てたのか?」
「他のご主人様の下に居た事はござますが、この屋敷に来た時に同時に今のご主人様の下に仕えることになりました」
「でも・・・てめぇの言った通りだとすると、あいつら俺とほぼ同い年って事になんぞ」
それでも年下には変わりないが、そうだとしてもあり得ない。
どう見ても中学生かそこらだ、高校生だと言われても疑ってしまうかもしれない。
「それに関しては詳しくお話しすることはできませんが、簡単に言いますと人為的に年を取られない処置を施されております」
「・・・あっそ」
今までの俺だったら全力で、それこそ実力を行使してでも黙らせるか論破してたことだろうが、あ
の二人に関しては何故かその説明がしっくりと来た。
「そんで?俺今どこに運ばれてんの」
「どこかに置いておくと私の知らない所でご主人様と鉢合わせになる可能性がありますので、一先ず私の部屋にお運びしております」
「・・・おう」
三番ではないが、俺もまともな会話が出来た事が嬉しかったのか、三番の部屋なら大丈夫かと安心している自分がいた。
「・・・眠れそうでしたら、お休みになられてください」
それは信頼にも似た感情だったようで、俺は三番の腕の中で静かに眠りについた。
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