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次の日、朝食の席で俺は樹の顔を見ることが出来なかった。
後孔の怪我は三番が目ざとく気付いて薬を塗っていたので一応痛みは引いていたが、俺の耳にこびりついた樹の囁く声が、樹の顔を見ることを大いに躊躇わせたのだ。
「ねぇ樹、何かイチ元気なくない?」
「そうかなぁ、ねぇイチ、何かあったの?」
「なにも、ありません」
「本当に?」
樹の声に若干の威圧感が含まれる。
「・・・はい」
「だってよ春、気にしすぎ。それより今日は漫画読むんでしょ?」
「あ、そうだった。早くいこ」
「もぉー。春が言い出したのに」
「ふふっ、ごめんごめん」
二人が部屋から出て行ったのを確認すると三番が俺に向き直る。
「治療をするうえで必要なので訊きますが、どうされましたか?」
「はっ、見たら分かんだろ。
夜中にいきなり来たと思ったら、慣らさないまま突っ込まれたんだよ」
「分かりました。
それでは先ほどお渡しした薬で痛みは引きましたか?」
「まぁな」
「それではそれを痛みを感じた時にまめに塗っておいてください。
二、三日で治ると思います」
「・・・治んねぇ方が良いんじゃねーのか」
ぽつりと、口から弱音が零れた。
「お気持ちは分かりますが、察するに樹様のなされたことだとすると、怪我が治るのをお待ちになるとは思えません」
すかさず三番が掬い取り、拭い去る。
「結局そうなる、か・・・わあったよ」
「それではお部屋まで案内しますか?」
「いや、良い。もう覚えた」
「左様でございますか。それでは私は失礼致します」
「おう」
俺は部屋から出ると、まっすぐに地下室へと向かった。
微かに血の付いたベッドに気にせず横になり天井を見る。
そーいえばここ地下だから電気消せば真っ暗になんのかね。
なら消して貰えばよかったか、こう明るいと眠くもならねぇな。
そう思っていたが、その暫くベッドの上でとりとめの無い事を考えながらゴロゴロしていると、気が付いたら眠っていた。
そしてそこから大体二、三日は何事もなく過ぎた。
っつっても小便飲まされたり、気晴らしに蹴とばされたりは普通にしたけどな。
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