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良い匂いのお茶
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三番の声が部屋に響いた。
静寂がその場を包み込む。
そしてすぐに、破られる。
「三番、誰に言ってるの?春にだよね?」
「違うよ、樹にだよね?」
「・・・お二人に、申し上げております」
「「どういう意味?」」
「イチ様は、物ではございません。ですが、壊れてしまいます、心が」
「「違うよ、何言ってるの?イチは、僕の、物」」
「お二人とも、ご自分が何をなさっているのか理解していらっしゃいますか?
どうか、今一度お考え直し下さい」
「「何、三番もしかして僕らに説教でもするつもり?」」
「・・・恐れながら」
「・・・ふっ、あははっ、聞いた春?三番が説教だって」
「うん聞いた、馬鹿にしてるよね。自分は人殺しておいてさ」
「ほんとだよね。あ、もしかしてさ、昨日はイチにその話しようとしてたんじゃないの?」
「昨日?・・・あぁ、紅茶の話でごまかそうとしたやつ」
俺の頭に何かがよぎった。
「そうそう、何だっけ、何かイチが紅茶の事をさ、良い匂いのお茶って言ったとかなんとか」
良い匂いのお茶・・・紅茶・・・消臭スプレー
「あははっ、言ってた言ってた、良い匂いの水ってそのままだよね。それよりさ、イチに話してどうしようとしてたんだろ」
「うーん、あれじゃない?同情でもしてもらおうとしたとか?」
「あはっ、それは流石に無理だよ。だって自分の弟殺してるんだよ?」
「・・・お止め、ください」
三番・・・人殺し・・・ハンカチ
「僕が春を殺すようなもんだよね。僕なら絶対無理」
「やだなぁその例え、でもありがと・・・樹、さっきはごめんね」
「ううん、僕もちょっと意地はっちゃってた。ごめんね」
どうした?膝なんかついて顔隠して。
「うん、仲直りだね、ふふっ」
「そうだね、それでさ春。三番、どうする?」
「昨日のあんまり効果なかったみたいだからさ、さっきの話イチに聞かせたら」
「ご主人、様、もう、おや、めくださ、い」
んだよ、泣いてんのか?あぁ、そういえばあんたに貰ったハンカチどうしたっけ。
「良いねそれ。あはっ、イーチ、よく聞いてね。いーい?」
「三番ってね人殺したんだよ、それも自分の弟を」
「しかもその弟をね、奴隷として扱ってたんだ。怖いよね」
「仕方が・・・無かったの・・・で、す・・・ごしゅ・・・めいれ・・・で」
おーい、三番。良く聞こえねぇって、ご主人ってのは前の主人か?
「それで散々奴隷としてこき使った挙句に」
「その人が愛用してた包丁で」
「「殺したんだよ」」
「・・・私は・・・い、やだった・・・あいつが・・・ころ、せ・・・と・・・」
へぇ、三番でもやっぱり弟の事はあいつ、とか言ったりするんだな。
「ははっ、そんなの良い訳だよね」
「うんうん、結局人殺しには違い無いもんね」
「・・・何度も、何度も・・・もう、見ていられなかった、から」
「あー、もういい。分かった」
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