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「ふふっ、さっきー」
「馬鹿、そうじゃね・・・おい待て春、本気にすんぅっ」
口いっぱいにおかゆを入れた春が、俺に口づける。
「あ、春零れてるよ」
ここぞとばかりに樹が顎から舐めあげて同じく口づける。
俺の口元はおかゆと三人分の唾液でくちゃくちゃと水音が鳴っていた。
「んっ、んん、ふっ、んうぅっ」
この、ガキども、もうおかゆねぇじゃねぇか、全部落ちたなこれ。
「ん、んぁっ」
不意に樹が宙に浮いた。
「んっ、んぁあっ、あっ」
春も同様。
「ん、はぁ、はぁ、三番、助かった」
「三番っ、何するんだよっ、良いところだったのにっ」
「そうだよっ、折角今から服脱がしていこうと思ったのにっ」
「失礼しました。しかしあまりにも食事の風景とかけ離れておりましたので。
・・・おや、何ですかその表情は。ならはっきりと申し上げましょうか、食欲が失せます」
気味が悪い程和やかだった三番の顔から笑顔が消えた。
途端に双子が大人しくなる。
「・・・何か、悪いな」
「いえ別に。ただ排泄に権利が不要であるように、食事の最中に身分はありませんので」
どうやら三番の中では超えてはいけない一線があるらしい。覚えておこう。
「三番だってさ、イチが良いって言うから一緒にご飯食べてるのに」
「そうだよね、別に三番が怒る事ないのにさ」
ぼそりと双子が呟いたのを、俺は聞き逃さなかった。
「ほぉ、じゃあ俺は三番と一緒に三番の部屋で食ってこようかな。
二人はここで仲良く食ってろ、キスでも何でもしながらな」
おもむろに立ち上がろうとした俺に、二人が慌てて取り繕う。
「あ、う、嘘だよ、冗談だってば」
「そうだよ、一緒に食べよ、三番」
三番はその様子に苦笑していたが、正直どちらかというと俺の方が驚いていた。
夕食の時間になった時に、俺は椅子に座る事を許可され(むしろ要求され)テーブルに着いたのだが、傍らで三番が一人忙しそうにしているのが妙に気になった。
どうしたのかと訊いてみると、「今日は下準備などを行っていなかったので」と返された。
忙しいのを承知で申し訳なく思いながら、三番が一人で全部やっているのかと聞くと是と返答が合ったため、三番自身も一緒に食事を取ったらどうかと提案したのだ。
だって二度手間か、冷や飯を食ってるって事だろ?
それはちょっといくら執事っつっても罪悪感がある。
もしかすると執事としての、矜持とか不文律があるから無理だと言われるかと思ったが、三番は少し考えると呆気なく「分かりました」と提案を受け入れた。
その後そのことを双子に話したら特に目立った反応は無かったが、一つだけ興味深い話を聞けた。
三番の過去にまつわる話である。
どうやら、三番の弟殺しにはこの屋敷が関係していたらしく、この屋敷には数年前までは奴隷が数人いたらしい。
それを使役していたのが他でもない三番で、その奴隷の中に三番の弟が居たという事だった。
双子は普段その奴隷たちを見ることはほとんどなかったが、その事件だけはたまたま目撃したのだと語っていた。
そしてその事件の後、双子が更に三番から聞いた話によると、三番が前の主人。
つまり双子の父親にあたる人物に直談判して奴隷がしていた事を全てこなす代わりに、他の奴隷を開放してほしいと頼みこみ、それを容認され、今の状態に落ち着いているらしい。
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