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唯一の枷
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「それでは、私はこれで。お休みなさいませ」
「おう、お休み」
「「おやすみー」」
・・・あ?
「お前らも早く戻れよ」
「「やだ、一緒に寝る」」
「駄目だ、戻れ」
「「やぁだぁ」」
駄々をこねる様な声を出しながらも、その息は荒い。
二人は掛け布団の中に躊躇なく入ってくると、そのまま両サイドから俺の身体にぴたりと体を寄せた。
「ねぇ樹、ここでしたら怒られるかな?」
「うーん、布団被ってればわかんないんじゃない?」
二人の手がもぞもぞと俺の身体をまさぐり始める。
「おい、待て、ちょっと待て、さっきしたばっかだろうが」
「「ふふふ」」
俺の身体に固いものが擦り付けられる。
「分かった、分かったから。ここで寝て良い、な?だからもう寝よう、お休み」
俺が強引に寝る流れにすると、少し不貞腐れたような様子で俺の身体を軽くつねったりしていたが次第に動きが緩やかになり、そして穏やかな寝息が聞こえて来た。
ったく、このみてくれで絶倫かよこいつら。
でも考えたら、こんな奴らがここに居るって事も、誰も知らねぇんだよな。
綺麗な顔して、絶倫で、悪趣味で、どSで、変態で、我儘で、馬鹿で。
そんなこの屋敷の二人の主・・・いや、王子って言った方がしっくりくるか。
そこに来たのがこれまた王子だと締まらねぇが、王女役なんざごめん被る。
三番は・・・ねぇな、あの爺さんは宰相とか似合いそうだな。
俺はそんなことを考えながら、あることに気付いた。
もう、出て行くことを、元の生活に戻る事を、考えていない自分がそこに居ることに。
思えばこれこそがこの館に来てつけられた、本当の意味で唯一の枷なのかもしれない。
でもまぁ・・・良いか。
それならそれで腹括ってやるよ。
俺はここで生きていく。
透明で、小さくて、絶対的な、そんな王国で。
両隣の二人がかすかに微笑んだ、そんな気がした。
fin
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