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昨日はあれから散々泣いて、結局何も食べずにいつの間にか眠ってしまったようで…朝日の眩しさで目が覚めた。
泣き過ぎたせいか、頭が痛い。。
腫れぼったくて弱冠見えにくい眼をこじ開けて辺りを見渡す。
そうだ。
実家に帰って来たんだ。
着替えの入ったスーツケースがベッドの脇に置いたままになっている。
深い溜息をついて、項垂れていた。
『 コンコンコン 』
ノックの音でやっと我に返り、返事をしながら立ち上がりドアへと向かう。
家族の誰かが心配で様子を見に来てくれたのだろう。まだぼんやりとした頭でドアを開けると、そこには見知らぬ青年が立っていた。
「 …あ。えーと… 」
咄嗟の事で頭が回らずリアクションに困っていると、相手が微笑みながら口を開く。
「 テソプさんですよね。 自分、先週からペンションのお手伝いをさせて貰ってます、パク・ジェリムです 」
短髪で金髪、長身、細く切れ長の目、服の上からも分かる程の筋肉質。彼はイケメンだ。
僕の苦手なイケメンだ。(ギョンスは別)
何故苦手かというと、僕の劣等感が反応して僻みやら妬みやらの黒い感情を生み出す事による自己嫌悪と緊張してしまい何をどう話したら良いか分からなくなる為…だ。
現に、もう何をどう話したらいいのか分からない。
僕が脳内であたふたして固まっている間に、どうやら彼が何かを伝えてきたらしいが、全く耳に入らずにいた。
すると、彼は徐に僕の手を引き、階段を下りていく。
「 えっ?あれっ?あのっ? 」
あれよあれよという間に、別棟にある食堂のテーブルに着いていた。。
「 ちゃんと食べないと駄目ですよ 」
そう言うと、彼は俺の前に朝食を並べて微笑んだ。
戸惑う僕を気にとめもせず、手際良く焼き魚の身をほぐし、小骨も丁寧に取り除いていく。
「 はい。これでよし! 」
まるで子供かお年寄り相手であるかの如く小さく小分けにされた魚を前に、僕はポカンと口を開いたまま、皿の上の魚と彼を交互に見てしまう。
「 …あ。すみません。なんかお年寄りみたいで嫌ですよね… 自分、ここの他に介護士のバイトもしてるんですけど、つい癖で… 」
「 …え…あ、いや、あの…食べやすいです。 ありがとう 」
取り敢えず出来るだけの愛想笑いをしてから、食事を口に運ぶ。
「 …旨い 」
「 本当ですか?良かった! テソプさん、相当顔色悪いから、食欲無いのかなぁ、何なら食べられるかなぁ…って色々考えちゃいましたよ! 」
そう言って笑う、彼の無邪気な笑顔に、イケメンに対する劣等感とか、つまらない感情は何時の間にか消えていて、気付けば僕も自然と笑っていた。
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