アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
キム・ギョンス
-
「 ん…ん~… 」
眩しい光りと、愛しい人の優しい声に、僕は目を覚ました。
「 早く起きないと、ディープキスするぞ。とびきり濃厚なヤツ… 」
!!!!
その言葉に反応しすかさず身を起こす。
身を起こし目を開けると、目の前にはガックリと肩を落とし項垂れる、愛しい彼が居た。
「 おはよう、ギョンス 」
彼の名前は、キム・ギョンス。
地元では有名な大学教授の父と、気が強く完璧主義な母、そして弟と妹がいる。
妹は、彼がゲイだと知り、ショックで自殺未遂をしたらしい。
彼が家族にカミングアウトをした事で、彼の家族はバラバラになってしまった。
悲しいが、それが現実だ。
それは我が家も例外ではなかった。
嫌悪感を抱き露にする身内もいた。
それでも…僕は家族に愛されていた。
特に僕を可愛がってくれていた2番目の叔父は、カミングアウトした時、相当のショックを受け、僕を罵り、拒絶した。
だが今は、事実を受け入れて、ギョンスと共に可愛がってくれている。
認める事と、受け入れる事は必ずしもイコールとは限らない。
それでも、見せ掛けでも、受け入れようと努力してくれた叔父に、僕は本当に感謝している。
「 朝飯出来ているぞ 」
ギョンスが優しく僕に声を掛ける。
ダイニングキッチンへ足を運ぶと、
いい匂いがしてきて、途端に僕のお腹が鳴り、空腹を告げた。
「 腹が減っただろう。お前の好きな蚫のスープも作ったぞ 」
ギョンスが椅子を引き、僕に座るように目配せする。
彼は何時もそうだ。
とても紳士的で、仕草もスマート。
何時も僕をリードしてくれる。
まるでお姫様のような接し方に、気恥ずかしくなる事もあるが、嬉しくもある。
何だかくすぐったい気持ちになる。
僕は椅子に腰掛け、手を合わせると、早速大好物のスープに口を付けた。
「 旨い… 」
「 だろ?実はこの間、撮影でお義母さんに隠し味を教わってな。早速作ってみた 」
ギョンスは、料理研究家の僕の母の専属カメラマンをしている。
ギョンスと僕は、法的にはまだ他人で、形式だけだが、細やかに式を挙げ、「夫婦」という事になっている。
式を挙げる提案をしてくれたのは母だった。
母は、父の再婚相手。だから血の繋がりはない。
その事に、僕も母も、とても悩み苦しんだ。
でも、僕がゲイである事を一番にカミングアウトしたのは母で、母は涙を流し、僕を抱き締め、「必ずあなたを守る」と言ってくれた。
ギョンスの事も、家族として、仕事のパートナーとして、とても大切に思ってくれている。
本当に…感謝しかない。
「 今日は、大学で講義があるから、病院まで送るよ 」
キムチをつつきながら、ギョンスが僕に微笑んだ。
ギョンスは、父親のいる大学で写真やカメラワークについての講師のアルバイトをしている。
長身短髪。鍛え上げられた肉体に甘いマスク。
実際ギョンスはモテる。
あの面食いな僕の妹でさえ惚れたくらいだ。
だから僕は何時も心配で堪らない。
僕は…家族の中では割りと地味な顔付きで、容姿には正直自信がない。
けれど、ギョンスは僕を可愛い可愛いと言い、何時何処ぞの馬の骨にお前を奪われるか分からないからと、ひとりでタクシーにも乗せてくれない。
流石にそれは…過保護過ぎると思う。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 21