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先輩
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今日の診察と業務を一通り終えた僕は、
先輩に連れられ、病院から公園を通り、人通りも疎らな狭い路地裏を歩いている。
「 疲れてるのに歩かせて悪いね 」
先輩は僕の事を気遣うように、ゆっくりと歩いてくれている。
時折、その人懐こい笑顔を見せながら。
「 いえ。これくらい平気ですよ。最近ジョギングで鍛えている成果の現れでしょうかね 」
僕も微笑みで先輩に応える。
暫くして、先輩の住むアパートに着いた。
招かれ中へ進むと、既に灯りの付いたリビングにあるソファに、男の子がチョコン…と座っている。
「 あ…先輩、この子は… 」
訊ねる僕の言葉を受けて先輩は
「 あ。息子のユナクだよ。ユナク、挨拶なさい 」
紹介された彼は立ち上がり、ペコリと丁寧にお辞儀をして、笑顔になった。
「 ユナクです!10歳です!よろしくおねがいします! 」
「 初めまして。お父さんと同じ病院の後輩のヤン・テソプです。よろしく 」
「 ヤンさんも、お医者さん? 」
「 そうだよ 」
すっかり打ち解けた僕達の会話に、先輩は微笑むと、キッチンへ向かい夕食を作り始めた。
*****
食事を終え、リビングのソファで寛ぎながら、先輩は色々な話をしてくれた。
大学を卒業後、先輩は医療スタッフとしてアフリカへ派遣され、過酷な状況下で、医療の限界や命の儚さを嫌という程思い知らされたと語ってくれた。
3年後
現地で、ボランティアとして参加していた日本人の女性に出会い、ふたりは結ばれた。
だが、幸せはそう長くは続かなかった。
奥さんは、現地でユナクくんを出産。
産後の体調悪化が彼女を蝕み、産後から僅か2週間で、帰らぬ人となった…
その後韓国に帰国。
男手ひとつでユナクくんを育て、今に至る。
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