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①
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俺はここ最近、何も良い事がない。
道を歩けばヤンキーに絡まれ、コンビニへ行けば店員の態度の悪さに苛立ち、野良猫を撫でようとすればひっかかれ、住んでるアパートは来月取り壊しになるから出て行かなくてはならないし…安くてバイトしてる店に近くてよかったのに…また、探さなくては…
何か良い事は無いのか、ちょっとでもいいから、俺がふてくされながらバイト先の店先を掃除していると。
「葉口くん」
店の扉を開けて、俺を呼ぶ声。
バイト仲間の花菱さんだ。
「はい?」
花菱さんは黒縁の眼鏡がとても似合う好青年。襟足が少し長めの黒い髪も似合う。
俺と同じ頃にここのカフェでバイトを始めた。
「次の休みっていつ?」
「休み?え?えーと、確か3日後の…月曜日ですけど?」
「月曜日か、そっかわかった」
「え、なんかあれですか?交換したいとかですか?」
「ううん、大丈夫、ごめん」
と、言って店の中へ戻っていく。
いつもそうなんだが、花菱さんはあまり自己主張をしない方だ、俺も同じくだが、容姿だけだと断然にモテる方だと思う…俺の勝手な見立てだけどね、多分、恋人かなんかと予定合わせたいのかもな、と、気になっていると、誰かの視線に気付く。
(花菱さん?なんだろ、やっぱりなんかあんのかな?)
目が合った、が、彼は目を逸らし店内奥へ行ってしまった。
(え?もしかして、俺、嫌われてる?の?え?なんだよ…)
最近、良い事がない。
仕事仲間にも嫌われてるなんて、最悪じゃないか。
俺に、幸運よ、来い!
なんて、言ってたら、まさかあんな事が起きるとは、この時の肩を落とした俺は知る由もなく…
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