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「さっむ…」
イツキと別れた後、自宅へと寒い道を歩く。
都会だからか。真夜中なのに車はビュンビュン通るし、マンションやホテルの部屋もほとんど電気が点いている。
「夜行性かよ」
白い息を吐きながら自宅へと再び足を進める。
「っだ、…や…」
ん?声?
叫び声にも似たその声は向かいの歩道から…俺のマンションの前から聞こえてきた。
20代後半くらいの男が、高校生くらいの男の子を連れて行こうとしていた。
あれ、嫌がってるよな。
止めなきゃ。
走って横断歩道を渡る。
「何してんだ!」
「…!?何だおまえ…」
「あっ…」
この童顔、このマフラー、落ちてる手袋…
「お前、さっきの!?」
「…助けてっ」
涙目で助けを求められたら、俺の正義感が勇気を振り絞る。
「そいつ俺のダチなんだ。離してくれる?」
「あ?お前もこいつ狙ってるだけだろ?やだね!俺が先に見つけたんだからな!」
「やだぁ、痛い!助けて!お願い助けて!」
嫌がるやつをぐいぐい引っ張る。
バキッ
気が付いたら殴ってた。
「っ!」
相手は一発でトんだ。
高校生くらいのやつは、怖かったのか、俺の胸に飛び込んできた。
「……怖かった…ありがと」
俺は…震える肩を抱き締めた。
********************
「お風呂まで、ありがとうございます」
「ああ」
俺は、こいつを家に招いた。
懐かれたら困る…とも思ったが、寒さと恐怖に震えるこいつを一人にするわけにはいかなかった。
「お前、高校生だろ?何で帰らなかった?」
「…あの、俺、高校生じゃないです。」
「は?じゃあ中学生?」
「何でそうなるのっ!大学生です!」
「嘘だ…」
「本当です」
彼は財布から保険証を出した。
俺より年上じゃねぇか!
「あの…なんか、すんません、俺より年上だったなんて…」
「別に慣れてるから大丈夫だよ…タメだと思ってくれれば。」
「…なら、そうする…。てか、…さっきみたいなの、よくやられんの?」
「うーん…どうだろうね?」
上手くはぐらかされる。
まあ、男が男に襲われるなんて、他人には話したくないだろうしな…
「名前、教えてくれる?」
真剣な顔で名前を尋ねられる。
「ひ、柊木竜雅…だけど…?」
「かっこいい名前だね!俺は波崎卓哉。今日泊まってもいい??」
どうせ羽留は来ねぇだろうし…
相手は他人だし…
家に高い貴重品なんてねぇし…
「いいぜ」
「ほんと!?竜雅君てオシャレだよね、落ち着いた色が好きなの?」
卓哉はキョロキョロして目を輝かせていた。
こいつ、小動物みたいだな…
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