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⑧
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俺は元々施設育ち。
大学・サークル共に一緒であるイツキは幼馴染。同じ施設育ち。
施設って本当に空っぽ。
シスター達には大切にしてもらえるけど、両親の愛を受け取るために用意された、心のペットボトルは1mlにも満たない。
それはイツキも一緒だった。
2人で施設を抜け出したのは小5の頃。
心が渇いて、水分を欲していた。
俺たちは、愛という水分が欲しかった。
愛して欲しかったし、愛したかった。
何で親は、俺を捨てたんだろう…
そう考えても答えなんて分からなかった。
でも、涙は止まらない。
父さん、母さん。俺も、手を繋いで歩きたい。
欲しいものだって、誕生日プレゼントだって…
あの子達はもらってるのに…
今の俺は、昔と変わらない。
愛が欲しい。
愛されたい。愛したい。
その心を卓哉にぶつけているだけだと気付いて足を止める。
「何やってんだよ、俺。」
相手はボーイ。上手く流されるかもしれないし、気持ち悪がられるかもしれない。
相手を…卓哉を困らせるだけだ。
戻ろう…
「ねえ」
…!…
この声……
何で、今なんだ…
「トイレってどこだっけ?ここ広いよね…あ、ボーイが100人以上もいればこのくらい広いのは当然か!って、ねぇきいてる?漏れそうなんだけど」
…何でこういう時に…
「卓哉…」
声掛けるなよ…せめて違う奴なら良かったのに…
「え、竜雅君!?な、なんでこんな所に!?って、え!?そのカッコ…え……なんで、泣いているの?」
卓哉が俺の方に近付き、頬に触れる。
熱い涙が溢れる俺の目に映るのは、悲しそうな卓哉の顔。
「竜雅君、少し話そうか。」
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