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第2話
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一階に下りると、親父が笑顔で迎えてくれた。
「蚊に刺されなかったか?」
「ん。大丈夫。」
親父から牛乳を受け取る。
牛からも出るアレが、俺からも出るなんて…。
まあ、親父にはバレていないようだ。
「今日も部活あるだろ?はい、水筒。」
「あ、いつもごめん。」
親父から水筒を受け取る。
「うーん…ありがとうを待ってたんだけどな。」
親父は寂しそうに向かい側に座る。
「あ、あんがとな」
気恥ずかしくて、目を逸らした。
親父は、俺が2歳の時に一般人女性と離婚したらしい。
理由は…教えてもらっていない。
物心ついた時から、親父だけが家族だった。
親父は、男手ひとつで俺を育ててくれた。
俺の周りは、母親という存在がいなくても、隔りを作らず接してくれた。
親父が人気俳優なだけあり、自然と周りに人がいて、恵まれた環境で育つことができた。
「ご馳走様でした」
「はいよ?」
(親父、ごめん!)
俺は、いつも俺を考えてくれる親父を裏切った。
女になっちまったんだから…。
親父が食器を洗っている隙に、棚から四角い絆創膏をごそっと取り、二階に駆け上る。
自室に飛び込み、素早く鍵を閉めた。
すぐさまTシャツを脱いで、乳首からティッシュをはがした。
「んふ…っぅ…はっん…」
息混じりの高い声が自分の口から出ていて気持ち悪かった。
絆創膏を貼ると、違うTシャツに着替え、制服に着替えた。
後は、歯磨きやら洗顔やらをして、俺は玄関へと向かった。
「昇、弁当忘れてるぞ」
「はっ、ごめ……ありがとう、親父」
「どういたしまして、昇」
「じゃ、も、俺行くからっ!行ってきます!」
「行ってらっしゃーい」
何だよ朝から恥ずかしいなっ!
玄関の扉を閉めると、肩に手を置かれた。
「おはよ、しょうちゃん」
「はよ。あのな、俺の名前はのぼるだって言ってんだろ?何回言わせれば気がすむんだよ」
「えーっ!昇って書いてしょうって読むじゃん!だから、しょうちゃん!」
「ま、お前がいいならいーけどさ。」
「何それ何それ!俺にしか呼べないニックネームって事でいいのかな!?」
「っるせーな…お前以外にしょうちゃんなんて呼ぶ奴いるわけねーだろっての。」
「ふぉぉおおお…嬉しい…」
こいつは、クラスと部活が一緒で、誰かしらにベタベタくっついていないと気が済まない檜山たけるという友人だ。
「しょうちゃんしょうちゃん!今日はね、弟が弁当作ってくれたの!かわいっしょ!」
たけるはスマホを取り出し、ビデオを見せた。
『クソ兄貴!撮ってんなよ!』
顔を赤くしてフリフリのエプロンを着させられているのがたけるの弟らしい。
たけると同じ金髪で耳にピアス穴があった。
弟もチャラいのか…
『より君上手に作れたかなぁ??』
『うっせぇクズ!お前より上手に作れるっての!』
「もうほぉんとかっわいいよね、ほら、もう可愛すぎるよね?」
「ああ、そうだな。お前の弟何歳だ」
「あっ!しょうちゃんよりの事好きになったでしょ!取らないでよ!俺のよりなんだから!17だけど!」
でも教えるんだ…
年子か…いいな、兄弟…。
平和だった。
朝は忙しかったけど、
でも…
放課後が来るまでは、平和だった。
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