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「ん…」
「…あ、生汰。」
水と出来上がったばかりのお粥を持っていくと、弟が目を開けた。
「あに…き…おれ…」
やや呂律が回らない状態でぽつりぽつり話し始める。
寝惚けているのか、幼い頃の記憶ばかりを話す。
「それで…あにきが、とうふ、おとして…泣いちゃったから、おれが…」
俺は頷きながら、生汰の頭を撫でた。
ふと気がつくと、生汰はまた寝ていた。
ホストという職業は、眠る暇がないのだろうか…?
俺のベッドを陣取り、スヤスヤと寝ている。
「兄貴…」
何時間が経ったのだろう。
頭上から、俺を呼ぶ声が聞こえた。
「おい、聞こえてんの?」
その声は、おーいおーいと俺を何度も呼ぶ。
「…生汰…何?」
俺が起きると、生汰はいつもの通りだった。
「あっ、、熱、下がった?」
「は?熱?てか何で俺、兄貴んとこにいんの?」
生汰は何も覚えていないようだった。
「ま、熱は大丈夫か…」
ふと時計に目をやると、七時三十五分を指していた。
「あっ!遅刻する!」
俺は大急ぎで支度した。
「兄貴、スーツ」
「ありがとう!」
「兄貴、ネクタイ曲がってるよ」
「ありがとう!」
「兄貴、行ってきますのちゅーは?」
「ありが…違う!しないよばか!」
「え?しないの…?」
「ぎゅーならしてあげるから、ほらっ」
ぎゅっと抱きついてくる生汰を、なるべく優しく抱き留めると
「行ってらっしゃい」
ふわっと彼の香水の匂いに包まれた。
「行ってきます」
何でこんな新婚さんみたいなことしてるんだろうと考えたけど、生汰は小さい頃から人一倍以上に寂しがり屋だったことを思い出した。
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