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光の中の、
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ーーーーーーーーー……
「…ンぁぁああ……」
正午を少し過ぎたところ、俺は帝都大の中で大きく伸びをした。
ついさっきまで立川さんと飲みながらグダグダ話をしていたが、「キリがないからサッサと仕事行け!」と追い出されてしまった。
校舎内だというのに窓から差し込む日差しは、今の俺の心情とは裏腹に、うるさいほど強い。
悩む時は悩む。
考え込んでしまえばなかなか抜けられない。
元からこういった少々面倒くさい俺は、こうなったらなかなか断ち切れないのがわかっている。
、今朝彼女に振られた。
……それもそうなんだけど、なんというかそんなことよりも、自分の思い描いていた未来に霧がかかってしまったような、そんな漠然的な不安が心の中にある。
心なしか、身体も足取りも重い。
いつものように首から下げているカメラはいつもの倍くらい重く感じるし、いつもは全く感じない日差しも、今日は刺さるように感じる。
…昨日と今日じゃ世界は何一つ変わってないのに、俺の中が変わっただけで、こんなに感じる物が違う……
そんなことを何気なく頭で漠然と思いながら、仕方なくその正午過ぎの日差しをファインダーに収めていた。
こんな憂鬱な気分で撮った写真を見て、誰が凄いと感動してくれるのだろうか……
日本の最先端技術を撮る仕事なのにな、…っはは…なんか笑えてくるわ……
そんな自分に失笑しながら、目的もなくフラフラと校舎内を進む。
普通は人も多いだろうに、何故かこの廊下は人が少ない。……って、あ、今大学生は講義中なのか、。
視線をスーーーっとあげると、そこにはまばらにしか人はおらず、なんだかやっぱりちょっと不思議な感覚を覚えた。
……でもやっぱり有名な大学だけあって校舎内も驚くほど綺麗で立派だ。
建物の建築も、一つの窓ガラスも、何の気なしに普通にあるけど、すべての物に伝統を感じる。……というか、ここのガラスすげぇでけえなぁ…。
いつのまにかながい廊下をぬけ、下に行く階段を下ろうとしていた時、その階段の踊り場の窓ガラスがすごく大きいガラスであることに気がついた。
ぐーーーっと視線を上に上げると校舎の天井まで続くそのガラスは、めいいっぱいの光を校舎内に降り注いでいて、キラキラと階段を照らす。
うわーーー……すげぇキレイ……
思わずそのガラスが誘い込む光にうっとりしてしばしカメラを構えるが、
……なんか足りねえな……。
ファインダーに収めたその光はなんだかそれだけじゃ物足りずシャッターを切る前にカメラを下ろしてしまった。
せっかく美しい物を見つけたのに撮る気にもなれない。
「……はぁ……」
立川さんにも言わせたけど、やっぱり俺、すげぇ餓鬼だなぁ……、、、
プライベートな悩みが仕事に普通に支障をきたしてる、
そろそろ俺も大人にならんと……、、、
そう頭の中でやんわりと自分に喝を入れてまた階段を降り始めた時だった。
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