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喋れない
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………………ッカタッ……
「……っ、!!」
ちょうど通りかかった所の棚の奥の方から微かに物音が聞こえた。
その音は本当に微かな音だったが、俺の耳には十分なほどに届く。
「………、っ都、…っ?!」
暗くて足元が見えないため、持っていたスマホのライトで前を照らしながらそれでも一秒でも早くとその音の方向へと急いだ。
「……っ、そこにいんのか、っ?!、、ーーーーーっ……!!!!、」
その時、ちょうどその目線の先、棚の奥の所にライトでボヤっと照らされた人の脚が見えたのだ。
そしてその脚は明らかに生脚だった。
「…………っっ!!!!!!おいっ、!!!」
俺はその光景に自分を忘れて駆け寄る。
しかし、
「…………っ、!!!!!!!」
俺はその姿を見た瞬間に一瞬声を失った。
暗闇の中、スマホのライトで照らされる都の姿は完璧に"事後"の姿だったのだ。
白衣など着ていたと思われる衣服は奴の周りに散らばり、辛うじて着ていた白いYシャツもボタンが外され乱れている。
さらに奴の腕は、どこから用意したのかわからない縄でガッチリと結ばれていて身動きが取れなくなっていた。
そしてなにより都自身の身体がかなり傷つけられていたのだ。
ライトで照らしているといってもまだ暗くどこまでの傷を負わされているのかは測りしれないが、パッと見ただけでも口元は切れ赤黒く腫れ、耳や肩は噛まれた跡なのか血が滲み、そして真っ白な身体にはおびただしい程の紅い印が付いていた。
「……っ、」
俺はその目を背けたくなるような光景に思わず顔をしかめる。
でも、…、……、早く助けなきゃ……、っ
「……っ、おい都、!!!!、大丈夫か、!!!!」
俺はその倒れるそいつにそう言いながら駆け寄り、彼の頬を優しく叩いた。
すると
「………ん"…、ん…」
奴がものすごく小さくそう呻き声を開けて薄く目を開けた。
「…………っ、都、っ?!?!?!」
「………、だ……、れ……、」
奴の口が微かに開き、俺の耳にカスカスに掠れた小さな二文字の音が入ってきた。
だれ…………って……、、
「……、え、…あ、、…俺は、今ここを撮りに来てる逢坂 基っていって、、」
まさかそんな事聞かれると思ってなかったから、ついたじろいでそう言う。
、…っつーか、!!
こいつ今、喋ったよな、……?!?!?!
やっぱり喋んじゃねえか、!!!!!
幻聴なんかじゃなかったじゃねえか!!!!!!
そんな事につい興奮していると、
「……、ん………、っ」
「…………っおい、?!!っ、…都、……!!」
都は薄く目を開けていたのをゆっくりと閉じた。
そんな事にもビビる俺。
、でも…そりゃそうか、…これだけ………………やられて……、今少し目が開いただけでも奇跡だ。
……、つーか、早く、こいつを……っ、安静な場所に連れてかねぇと……、、
目の前でぐたっとするこいつにハッとして、急いで奴の手首に巻かれた縄を解く。
「……っ、堅ってぇ……っ、!!」
その縄のあまりの硬さについそう声を出してしまった。
、おいおい…どんな力でやってんだよ…、
こんなんじゃ、外れないどころか…………
そう思って必死な思いで外したその手首を見ると、縄で拘束されてたのがわかるほどくっきりとその青黒い跡が色濃く付いていた。
「…………っ、!!」
、やばい……これは…、。
わかってはいたけどやっぱりただ事じゃねぇ……、、
「…、もう大丈夫だからな、っ、……っ、俺が、…俺が助けてやるから…、」
俺は無意識に彼に向かってそう言っていた。
散らばる衣服の中から、大きい白衣を拾って乱れた彼の姿が見えないようにそっと上にかける。
そしてぐったりとする彼の背中と脚を下からすくい上げるようにして身体を持ち上げた。
結構身長があるにも関わらず、あまりにも簡単に持ち上げられてしまった事に驚いていた瞬間、
「……..っっ!!!」
彼の脚の間からなにやらドロっとしたものが俺の手をつたってボタボタと地面に垂れた。
ーーー…ッ、、、
男同士でありえないなんて今まで意地でも信じていなかったのを、俺が目を背けられないように現実として突きつけられた気分だ。
、…でも、今は、……今はこいつを……、、
俺はその事に必死で、男がどうとか、レイプだとか考えている余裕なんてなかった。
ただひたすら、"こいつをどうにかしなきゃ"とその想いだけで身体を動かす。
「……、っ、大丈夫だからな、…今、助けてやるから、」
俺はそう静かにつぶやきながら、この薄気味悪い部屋の明るみへと足を急がせた。
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