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興味と気づく距離まで
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「……うわ、…、すっげぇ……」
入ったそこはそんな呟きさえつぶやく事を億劫に思ってしまうくらい厳格な雰囲気を放っている。
少し寒ささえ感じてしまうほどの温度、いる人は多いというのにシーンと厳粛な静けさ、そしてこの独特な懐かしいような匂い。
、そう。俺が入ったところは紛れもなく図書館だ。
ここに入った事は初めてではないにしろ、やはりここの雰囲気には少し飲まれるなにかがある。
まるで昔の高貴な生活をそのまま閉じ込めたようなそのアールデコ調の建築は、確か国の有形文化財に指定されていると聞いた事がある。
高い天井、大きな窓、それから自由に本を取って読む事の出来る大きなテーブル、ソファー、…ここにあるもの全部値段をつける事のできないような世界的に価値のあるものばかりだ。
そしてそこには数え切れないほどの本が置いてありその中を沢山の学生が利用している。
椅子に座り本を読んでる奴がいたり、なにやら辞書片手に必死に勉強してる奴がいたり…、まぁ、なんにしろ大学図書館というのは元から蔵書が多いと聞く。
ここの場合、たぶんその普通の大学の倍くらいは多いのだろう。なんせとりあえずものすごく広いから。
その背の高い本棚の間をゆっくりと通りながら見ていく。
あ、……ここならもしかして絶版になった本あるかも……
ハッと思いつき、俺は好奇心を躍らせる。
…実をいうと、昔から本が割と好きな俺。
そうそう……これに関しては言った人から意外だと言われ続けてきた。うん。
なんだろう、…小学生の時から父さんに色んな古本屋ばっかり連れられてたからだろうか、…家にはなんとも言えないような埃っぽい本ばっかりあってそれすべてが父さんとの思い出を詰め込んだ宝物だ。
そのせいもあって、コッチでも外国でも本を読んでいたし、…というか好きで暇があればカメラ片手に本を読みに散歩へ出かけたりもしている。
今でもしょっちゅう近所の図書館には通っているし、…。
だから、もしかするとそこになかったものがここにはあるのかもしれないのだ。
これは結構心踊る。、うん、心踊る!
俺は珍しく心躍らせながら少し急ぎ足でその図書館の奥へ奥へと進んでいく。
……つーか、やっぱり本の数が半端なく多くて広いしなかなか見つけられない。
……なんてことを思っていたら、なにか開けたところへと出ていて、そこにはとても大きな一枚つなぎのテーブルがあって、向かい合わせに沢山の椅子が並んでいた。
、あれ……なんつーかあの某、額にキヅのある男の子が主人公の映画に出てくるあのでけえテーブルみたい。(分かりずらい)
でも、生徒も本当にそんなような感じで、そこにまばらに座っている。
……なんつーか、…本当に日本最高峰の大学感がすごい。
伝統を感じながら勉強する。これこそ最先端こその贅沢な環境。
カシャカシャカシャーーー……
その光景に思わずシャッターを切る。
ファインダー越しにみるその光景は、何故だかセピア調に見えてくるくらい雰囲気が完成されていた。
その雰囲気は、図書館だけが出すものなのではなく、生徒たちのものでもあった。
つーかこれだけ静かな場所でバシャバシャシャッター切ってんのに誰も振り返らないとか、なんつーかそれもすげえよな……
みんな本読むことに集中してんだろうけど、……それにしてもみんな真剣で。
ファインダー越しにその風景をみてそう感心していると、
……あれ……?
なんだかその風景の少しの異変に気が付いた。
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