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興味と気づく距離まで
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「……、で、どう、?身体の調子とか、。顔の方は随分治ったみたいだけど、手首はまだ消えねえの?」
「……」
そう都が答えやすいように質問する。
これならうなづくとかで返事ができるから、…と思ったが、都はやはり全く俺の言葉を聞いてはくれない。
「、まぁでも痕に残るようなもんでもなさそうだったし、治るのも時間の問題だな、。、本当に大きな怪我になんなくてよかった、。」
「……」
「……、つーかお前がここにいることにすげぇ驚いてるんだけど。……意外だよな、。」
相変わらず無視を続ける彼に俺は構わず話を続けた。
会話が、"言葉"を使うことが苦手な俺が、人と会話がしたくて話続けるなんて、はっきり言って考えられない事だ。
、でも、なんつーかもうムキになってるんだとおもう。うん。……だって俺こいつを崩してやりてえんだもん。
「……お前が図書館にいるとか、。……ははっ、…だって俺、お前どーせ本とか大っ嫌ぇえだと思ってた。」
サラッと少し冷たく、あえて距離を置くようにそう言い放つと、今まで意地でも無反応だった都が本を読みながら小さくピクっと肩を揺らしたのが見えた。
…………、お、。
その事に少し驚く俺。
あれ、……なになに、。本は嫌いってとこに反応したのか??
「、あれ、。、まさかお前本好きなの?……え、まじで?」
「……」
未だページをめくる指が止まっている都。
あ、これは、当たりだ。
「、えーそうなんだ、すげぇ意外。……だって理系で、しかもその中でもデータばっかりで文学とは無縁な環境にいるから、俺はてっきり国語系すげぇ苦手だからあえてそういう科に入ったんだと思ってたんだけどな〜〜。」
「……」
チラッとそう言いながら都に目を向けると、なんだか手がピクピクと迷いを持ちながら震えていて、そして俺の問いから数秒経った後にまたページをめくり出した。
……明らかに同様してるよな…笑
、はは…っ、なんか……こいつ、面白い…っ、
「……なのに、こんな昼間っから図書館で、んな本読んでるっつー事は、あえて遠ざけた〜なんてありえないわけね、?」
ははっとそうって笑いながら都の横に積まれた分厚い本たちに目を向ける。
積まれた本たちは分厚い埃のかぶったようなものもあれば、日本文学作品のもの、それから新書などの小さい本までジャンルをとはないように積んであり、はっきり言ってそこには少し違和感を覚えた。
……まぁ、明らかに勉強の一部として、資料として持ってこられた本たちじゃない事ぐらいはわかる。
こっち側に背表紙の向けられたもののタイトルを読む限りでも本当にバラッバラのジャンルである事はわかるし…………、でも、
都が今読んでいる本の下にそっと目を向けると、そこにはなにかびっしりと黒い文字で埋め尽くされたノートのようなものがあり、なにが書き込まれてあるかとかまではわからなかったが、ノートの近くに蓋の開けたままの万年筆がころがっていたことから多分今現在都が書き込んでいるものだろうという推測ができた。
……本を読みながら書き込む、……?
はっきりいって、その発想は俺には皆無だった。
俺にとって本は別世界へ誘ってくれるものだ。
本はたくさんのきっかけをくれて、旅のお供にもなってくれて、そして扉になってくれる。
そういうものだと割り切っていたから、本を読みながら書き込むなんざやったこともやろうと思ったこともなかった。
……だから、都がなにを書いているのかも全く推測できなかったが、……まぁ……、頭いい奴のことだから、……結局……勉強にでも、つかうのだろうか、……?
……まぁそこらへんはどーでもいーや。
本の使い方も感じ方も人それぞれでいいと思うし……、…って、あ、。
ふと何気なくそう思いながら今現在彼の読んでいる本に目を向けた。
それは完璧に横文字の文体の本で外国文学作品だということが分かる。
……で、俺は奇跡的にもそのチラッと見えた一文に見覚えがあったのだ。
「、え。お前が読んでんのって、もしかしてB・フェニックスの本?」
あまりにもそれに驚いてついそう口走って言うと、今までしかと無視を決め込んでいた都が今度は明らかにビクっと震えた。
……、え、つーか、まじで、?
「、え、なに?あたり?……え、うそ、まじで?、ちょっと見せて。」
なんか、都が反応したとかそういうことより今の俺には読んでた本がB・フェニックスの本だった事に驚いてスッと都の手からその本を勝手に取り表紙を見る。
すると、なんかもう変色したような茶色く汚い表紙に錆びたような文字でその名前が書いてあり、なんだか俺は煮え滾るように興奮した。
「え、……つーかこれ絶版になった奴じゃん、!!!!は、、、え、……なんであんの、すげぇ、、、!!」
そしてついそう大声で言うと、「コホン…っ」とどこから咳払いの音が聞こえたので、ハッとしてその場で軽く「…さーせん、」と謝った。
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