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基の変化 。 立川さんside
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カシャカシャカシャカシャーーー……
「……んじゃ次ラスト一回いきまーす、」
カシャカシャッ……
「……っ、はいオッケーっすー、お疲れ様っしたー!」
都内の某スタジオの一室で、ある写真家の声によりスタジオ内の緊張感からよくやく解放された。
その写真家とはもちろんうちのギャラリーに所属する唯一の写真家、逢坂基である。
今日の撮影は有名な服ブランドの春モノ撮影で、ちょうどうちのギャラリーの事務所と撮影場所が近いって聞いたから久々にモトに会うがてら撮影見学に来ていた。
私にも色々仕事がある為、全部の撮影を見ることはできなかったのだが、かなり緊張感のある中での撮影だったことが分かる。
今回の被写体である二人の男女モデルも、今海外で有名なモデル達だし、それになんといっても撮るのが普通のカメラマンではなく基だという所も場を緊張させる要因の一つだろう。
基はこの世界じゃ国際的に名を馳せる超有名写真家だし、その異例な天才さ故に未知なところがある為周りもどう接したらいいか分からないのだ、。
……まぁ実際的に軽く接するくらいじゃなんの差し障りもなく交流できるが、本当にやっぱりあいつは芸術家的な所もあるから相当仲良くなきゃとっつきにくいっていうのはどうしても否めないけど、…。
今もこうしてスタジオの端で基の事をなんとなく見ていたが、アシスタントもスタッフももともと取らない基に積極的に話しかける奴なんておらず、
基の方が横で休憩してるモデル達なんかよりもオーラがでてるように感じられるほど、みんなからの注目を受けながらカメラを片付けていた。
基のスタジオ撮影はどんな事があっても基本直帰。
まぁ、ここが普通のカメラマンとは明らかに違う所だとは思うが、…あいつは元々フリーで撮る写真家な為普通のモデルとか撮るカメラマンとは違いカメラチェックというものをその場でしないし、それに周りの人間にどれを使うかなどの意見を委ねたりしない。
それは普通であったら絶対にリスクになる話だが、基の場合は加工や編集、デザインなども後から全部一人で行ってそれで必ず依頼者側に想像以上のモノを提示してくれる。
だから周りはああやって近づいたり話しかけたりはしないが絶対的な信頼と恍惚の眼差しで基を見るのだ。
……それにあいつ無駄にデカくてスタイルよくて顔も申し分なく整ってるからまた近寄り難いんだよなぁ〜…
まぁ、それがあいつのアイデンティティの一つでもあるっちゃああるんだけど、、…。
……まぁ、なんといってもあいつはハッキリいって昔から普通ではないからなんもいうつもりはないんだけどね。
そんな事を思っているとカメラの片付けが終わったのか基がコッチの方を見て私に気付くと、大きな荷物を背負いながらこっちへと向かってきた。
「…っ、立川さんじゃないっすかー!来てたんすね、来てたならいってくださいよ〜。」
「…あぁ、近くだったからな、。撮影お疲れ様。」
「……あ、立川さんのくせに珍しく気が利きますね、ありがとうございます、あ、どーせなんでここで少しコーヒーでも飲んでいきます??」
基が久々にニコニコしながらそういって、スタジオの隅にある四角い白いテーブルを指差した。
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「あ、ありがとう」
「いーえー。…ここのコーヒー結構うまいんすよ、さっきちょっともらったんすけどー」
白いテーブルで座って待っていると、基が「はい。」といってコーヒーを渡してきた。
そして奴も目の前の席に座る。
「……あ、立川さんここ禁煙だから。」
「……へ、……あ…悪い…」
いつもの癖でタバコを吸おうとジャケットの内ポケット漁っていると基が目だけを動かしそう言ってきた。
「……なるほどね、どーりでお前が撮影終わりに吸ってないの変だと思ったわ。笑」
「なにいってんすかー、…スタジオなんて殆ど禁煙っすよー…。」
基はそういってコーヒーを机に置くとグーーっと伸びをした。
こいつの場合、モデルの撮影でも割とスタジオじゃなくて外で撮る事が多いから相当スタジオっていう閉鎖的な場所で撮るのは苦痛な筈だ。
……タバコ吸えないっていう事もあれだし…そもそも依頼の仕事という束縛感も苦手だろうから、。
……まぁそこに関しては、こいつの親によく似ている。
「…別に喫煙所行きゃいいだろ、文句言ってないで」
「……いやいや、…俺が行ったら元からいた人に申し訳ないし……別に家帰ったら吸うんでイイんです。」
「……ははっ、…お前ほんと意外と気ィ使いだよな。笑そんなことお前が気にしなくてもいいのに笑」
「……あーもーいいじゃないっすかー…うっさいっすよー」
「はははっ、」
……まぁこういう繊細なところはそんな似てないけどな、。
「……で、今日の撮影はどうだったんだ?」
久々に基のスタジオ撮影を見に来たついでに聞いてみる。
「……んー、…まぁ見た通りこんな感じっすよ、。……特に困った事も無ければ、いい事もない、…みたいな。」
「……………やっぱりスタジオは窮屈か?」
「…………ふふっ、……まぁ、俺が文句言えるような仕事じゃないんで。」
基はそういってまたコーヒーを啜る。
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