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基の変化。 立川さんside
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「……立川さん、俺になんか話があるからわざわざ現場まで来たんじゃないんすか、?……さっきからずっと黙って眉間にシワ寄せて、…。俺別に立川さんのそんな顔見るためにコーヒー飲んでるわけじゃないんすけど。」
すると、基の方がなんか不満気な顔をして俺にそういってきた。
「…………ったくお前はー、…なんだその言い方、。相変わらず一言多いの代表格だな、。」
「…………え、?なに、。なんもないの?」
基が相変わらず馬鹿にしたような目で見てくる。
……ったく本当になんでこんなにクソ生意気に育ったんだ…
「……まぁ、あるけど、……」
俺は静かにそういって持っていたバッグの中を漁る。
はい、そーです。ありますとも。
俺だって忙しい。……話がなきゃ近いからってわざわざこいつの現場になんか来たりしない。
「話っつーのは〜、…まぁお前が今撮ってる帝大の事なんだけど〜…」
俺はそう言いかけて、コーヒーを啜るモトに一枚の紙を差し出した。
基はそんな言葉に「お、」と珍しく反応を示してその紙を手に取った。
「…この前連載の第一回目が出された訳だけど、まぁそれが物凄い反響があったらしくてな、。」
「……あ、そーなんだ。」
「うん。ネットでも話題になったりして、帝大特集への問い合わせも凄かったらしいし、「うちの大学も撮って下さい」みたいな電話も多かったらしいぞ。……なんてったって通常の5倍雑誌が売れたって。」
……まぁはっきりいってこんなの当たり前だ。
……だって基が撮ってるんだから話題にならない訳がない。
しかし
「……へぇー……」
当の本人は全くの塩反応だ。
「…、っあのなぁ〜…もっと喜べよ、!!たった何ページかのコーナーで通常の5倍だぞ!!5倍!!!」
「……いやいや、喜んでるって、。…まぁでも俺だけのおかげじゃないし、。つーか俺のページだけじゃないじゃん。……まぁ帝大の良さが伝わったのなら嬉しいけど。」
「……。」
そうだそうだ、…こいつはこういう奴だった。
無駄に謙虚。…んで頑固。
「……でもまぁ、今回は異例の人気らしくてなぁ、担当者さんがすぐ電話かけてきたぞ、そりゃもう嬉しそうに。……というかお前にもかけたけど出なかったって。」
俺が基にそういうと基は無言のまま自分のスマホを取り出し、「あ、ホントだ。」と笑った。
「……つーか、立川さんもかけてきてんじゃん。笑」
「…お前なぁ、笑い事じゃないぞ。お前に繋がらなかった分全部事務所で処理してるんだからな。」
「……あははっ、ごめんごめん笑。」
「、ったく、……今の時代でよくスマホなくして生きてけるな、お前は、、。ホントに今の若者かぁ……??」
「……だって俺にはあんまり必要ないっすもん。」
「……っはは、そうだった!!お前"自称非人間的"だもんな、!!」
「……立川さん、それ笑えない。」
少し嫌味を言うようにいうと基が目を笑わせずにそういった。
……うわ、…またも無駄に威圧感あるから怒らせないんだった……
「……っ、まあまあ、話戻すけどな、それで、もしかすると連載期間伸びるかもしれないって。……だからそこらへんは覚悟しといて。」
話を戻すように少し声音を高くしてそういうと
「、…え、。……っまじで、?」
と基がなぜか心なしか嬉しそうにそう呟いた。
……え、なにその反応。……依頼嫌いなこいつには珍しい……
「……なに、…珍しいなお前がその反応するって、。」
「……え、そう…?……ふふ、別に普通っすよ、。」
いや……絶対おかしい……
「………あ、というか俺、立川さんにみてもらおうと思ってたものがあって、ー……」
そんな基にあやしがっていると、基が「ちょっと待っててくださいねー」といって荒く席をたった。
……見てください、…って…なんだ、、??
あまり基の方からこういうことがなく少し戸惑ってしまう。
そう思っていると「お待たせしましたー」とか言って基がなにやら作品を入れるような大きいカバンを持ってさっきの席に座る。
そしてその中から大きなファイルを取り出した。
あ、……そのファイルには見覚えがある。
それは基がいつも撮った写真を仮現像して様子をみるいわば簡易的に作ったポートフォリオのようなものだった。
「…………お、写真か?」
「…まぁ超仮ですけどね、……今度の帝大の写真ちょっと見て欲しくてー……」
「おうおう、見る。」
……実を言うと俺は基の持ってくるこの一番最初の写真を見るのが一番好きなのだ。
何事も出会いの瞬間は一度しかないだろ?
それに、基は写真を発表するまでに基本誰にも見せたり相談したりしない。
だからオーナーの俺でさえもこうして発表前に見れる機会は少ない。
……そう考えるとこれを見れるというのは半端なく贅沢なことなのだ。
基が出す目の前のそのファイルに自然と俺の心は高まっていった。
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