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基の変化。 立川さんside
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「おーーー…相変わらずいいなー、…」
基からそのファイルを受け取って中を見ると、第一回目の帝大特集とは少し違うニュアンスで撮られた写真たちが目に入り込んだ。
この前は初回ということもあり理系の機器を主に撮った格好良さを全面的に押したものだったが、…今回は人物が多いように見える。
「……なんか今回は親しみやすい感じだな、。最高峰の大学で近寄り難い感あったけどこの写真見るとイメージを変えられる。」
「……、あ、本当?…………良かった、。その雰囲気出したかったんすよね、。」
基がそんな俺の感想に少し笑ってホッとしたような表情を浮かべる。
……その反応が俺にはあんまりよく分からなかった。
…はっきりいって普通にいい写真だったし、……なぜわざわざ俺に見せてきたのかが……
「…………なに、お前なんか不安なことでもあったの?……普通にいい写真だと思うけど、。」
俺はペラペラー…とその写真を一つ一つみながらページをめくる。
「………んー、……いや、……不安っつーか、、なんつーかこれが良いのか悪いのかよくわかんなくなって、。」
写真をみながら基の声だけ聞くが、その声が心なしか不安げに聞こえる。
……こいつはなにを不安に思ってるんだか、……。
分からないもなにもさっき好評だったって伝えたばかりなのに。
なにを今更…………、、、
そんな基の弱気な様子に疑問を持ちながら俺はまた何気なくペラっとページをめくった。
しかしそのめくったページを見て、俺はカルチャーショックを受けることになる。
「……………………っ。」
俺はその凄まじい衝撃に口が勝手に開き一瞬で声を失った。
…………それは2ページが見開きになった一枚の大きな写真で、……簡単に言えば白衣姿の男が階段から落ちているもので、……
……いってしまえばそれだけだ。
…………それだけの状況説明のような写真なのに、……
真っ白い光がその男を包み込みまるで包み込むように自然に光り、違和感のない無重力のように感じられた。
こんな光って綺麗だったか………、?
こんな白って、美しかったのか…………?
この写真にはそう今までの自分の感性を疑わせる程のゾッとするくらいの美しさがあった。
「………………お前、…………これ………………」
その写真への衝撃が強すぎて途切れ途切れになりながらも俺がそういうと、
「……………っああ"ーーっっ!!!!! ダメダメそれはだめ!!!」
急に基がそう大きな声を出して俺からその写真を奪ったのだ。
「、はい、しゅーりょーー。」
基はそのファイルをすぐにたたむとそう言いながらすぐさま元のバックにしまう。
「………………は、……なに、なんでだめなの、…」
俺はまだ放心状態が取れないままそんな基を見た。
「………アレは見ちゃだめなんすよ、あ〜…なんで外したと思ってたのに、…しくじった、。」
基はそんなことをいって手で顔を隠しながら軽く舌打ちを落とす。
いやいやいや、……状況が全く掴めない、……
けど、そんなことどーでもよくて、……
今もさっき見たあの写真がハッキリと脳裏に映し出されている。
あれは…………間違えなく、…………奇跡の写真だった。
一生に一度、見れるか見れないかの、。
……そんな、稀に見る奇跡の写真だった、。
「………………お前、なんでそんな良い写真を隠そうとする、?」
「……………………、?」
俺がさっきまでと違う覚めるような静かな声音でそう言うと、基は手で覆いかぶしていた顔をゆっくりとあらわにしてその目を細めた。
「………………そんな素晴らしい写真なかなか撮れるものじゃない、。………………それを隠す必要がどこにある?………………それを隠すなんて、…もったいないにも程がある。」
心に思ったことを素直にそう口に出す。
…………そうだ、。素晴らしいものは絶対に世間に公表すべきなのだ。
……言葉が苦手な基なんか特に。
じっくりとは見れなかったが、そんな一瞬見ただけの俺でも、あの写真は伝えきれないほどいろんな感情を生まれさせた。
ああいう写真こそが会話する写真だ。
……言葉以上の写真。
……そう、。……あれこそが基の写真なのだ。
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