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生花と死花。
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「……なんだよ、お前は帰らなくていいの?」
「ついでに家まで送ってやるけど。」と立川さんが俺に向かってそう言ってくるが「……これからもっかい帝大撮り行くんでいいです。」と少し睨みながら断った。
……さっき、初めて都の写真を立川さんに見せた。
……本当は見せる気なかったんだけど、やっぱり立川さんなら良さが分かってくれたのが嬉しくてつい見せてしまったのだ、。
案の定最後の方は「会わせろ」とか「いつ写真集出すんだ」とか「個展は?」とか色々言ってきてうざくなったから無理やり帰らす事にしたのだが、
「……そりゃあんないい写真撮ったら、他の写真がどうなのか不安にもなるよな、」
なんて事を笑いながら言ってるあたりさすが俺の事をずっと見てきただけある。
「……何、またこれから撮り行くの??お前疲れてんじゃないの?」
「………まぁ、今日撮らなかったら一生出会えないものとかあるでしょ?俺、そういうの逃したくねぇもん。」
「……ふふっ、んな事言ってお前どーせあの人に会いに行くだけだろ、」
「……っ、立川さん、…。…早く帰って下さいよ、、、早くしないとぶっ殺しますよ。」
「…はははっわーーったよ。あーこわ。笑
帰る帰る、じゃ、。あんま無理すんなよー!」
俺がそんな立川さんをもう一度睨むと立川さんは笑いながらスタジオを出てった。
…………ったく、あのジジイは、、、。
人をすぐにおちょくってくる、、。
別に都に会いに行くわけでもないし、……、、
…まぁ、会えたらそれはそれで嬉しいけど、。
……って、俺も早く行かなきゃまじで研究室しまる、。
俺もそんな事を思い、帰ろうと荷物を持ってスタジオの外に向かった時だった。
「お疲れ様でーす、」
俺の姿に控えめに挨拶してきたスタッフがいて、挨拶を返そうとその方向をみると、撮影で使った物凄い数の色とりどりの花があった。
その花たちはもう役目を終え黒いバケツに入れられて台車でスタッフの人に運ばれていた。
………………植物だ、。
ふと頭の中に都のあの写真が思い浮かぶ。
「……この花なんて花ですか?」
気づいたらそのスタッフにそう話しかけていた。
「…………っへぁっ?、あ、……っえ、えっと、……っこの花ですか、っ……?!」
なぜか聞いたスタッフがめちゃくちゃ驚いて物凄い吃る。
いやいや、……そんな焦るか?笑
「……はい、キレイな花ですよね、。」
「……はい、!、え、えっとこれはダリアって言って、……」
「……へぇー……」
俺はそう聞きながらその花たちに目線を向ける。
青や赤や紫にピンク、……
いかにも花らしきその花たちは、まるで自分達の魅力を熟知しているかのように自信ありげに咲き誇っていた。
…………、なんつーか、…都とは真逆の美しさだな、……
…都もこれくらい主張してくれたら分かりやすいんだけど、……とか思ったりして、。
……まぁ、その花が美しい事には変わりなかった、。
物体として、とても綺麗だった。
……多分、植物が好きな都は……この花もきっと好きだろう、。
…………この花をあげたらまた…この前みたいに、喜んでくれるのかな、…
俺はそんな事を思いながら脳裏であのクレマチスを抱いた都を思い出した。そして
「……この花、貰ってっても良いですか?」
気付いたらまたそう聞いていた。
「……っへっぁ、…っ勿論です!!!っ、きっとこの花達も逢坂さんに貰われたら本望だと、っ思われるで、ございますっぅ!!」
そんな俺にまたもや声を裏返しながらスタッフが返事をするので思わず面白くて笑ってしまった。
「……ふふっ、……面白いっすね、、。……別にそんなに焦らなくても、…っふふ」
「……っいやいやいや、まさか逢坂さんに話しかけて貰えるとは思ってもいなかったので、っ、!!あの、っ、!、もし良ければ僕がいい感じのやつで花束つくりしょうかっ?!」
「……あ、まじっすか、。…ふふっ…助かります、ありがとうございます、」
俺はそんな親切なスタッフに自然と笑顔になって頭をさげる。
……意外とみんな喋ってみると親切なんだな、。
……今まで喋った事なんて一切なかったけど、……思ってた以上に普通に話せている自分にびっくりする。
「……何色がお好きですかー?」
「……いや、適当に綺麗なものをお願いします、……」
「はい!わかりましたっー!」
……これも都のおかげか、……?
……いやいや、……分かんないけど、。
でも、都が喜んでくれるなら…これ位の人とのコミュニケーション普通にできるな、。
俺は花を選んでもらいながらそんな事をつらつらと思っていたのだった。
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