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休日
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その日は何事もなく、兄さんに抱きしめられたまま寝ただけだった。
次の日、俺達は10時頃に起きた。
「……ん…んぁ……おはよぉ…」
「おはよ時雨。ほら、ご飯食べよう?」
「うん……」
「今日は事務所だっけぇ…?」
「そうそう、それに熱帯魚店も行くでしょ?」
「……!うん!」
俺は今日の予定を思い返して、楽しみになって目が覚めた。
兄さんと同じ事務所なら、いつもよりもにーさんと長く居られるかもしれない、そんな思いがよぎって、ちょっといいかも、と思った。
それに今日は、熱帯魚を見ににーさんが連れてってくれるし……楽しみだなぁ
朝ごはんを食べ終えて、私服に着替えた。
「時雨って私服ラフでかっこいいよね」
「そぉ?にーさんはなんか個性的だよね」
「あ、肩出し多いからでしょー」
「うん」
兄さんの私服は白、紫、黒の配色が多い。兄さんは目だけ色素がちょっと違うみたいで、日本人だけど目が青い。黒いといっても少し茶髪だけど、そんな地のカラーとバランスが取れてて俺は好き。
それに比べて俺は、真っ黒の薄手のカーディガンに、カーキ色のサルエル、カーディガンの下は深緑の半袖だ。
兄さんは自分の見せ方っていうかな、それをわかってて、あえて肩出しを着ててオシャレだ。
でも俺は、特質するようなことも無く、言ってしまえば見せ方もよく分からない。
そんな兄さんと、車じゃなく散歩気分で出かけるんだ……。東京の真ん中歩くとか……。
しかも兄さんと……
プレッシャーで胃が痛くなりそうだ。
「んじゃ行こっかぁ!」
「はーいっ」
俺達は玄関から出ると、鍵を占め歩き出す。
「うはー天気いいねー!」
「うん。にーさん肌白いけど焼けないの?」
「んー?あぁ、日焼けしても赤くなって終わりだからねー、日焼け止めは塗ったよ?」
「へぇ…ケアはするのね……」
「大事だよっ!(キリッ)」
兄さんはなんか…しっかりしてるけどどっか可愛いというか…。
「人多いなぁ、休日だし……」
「そだねぇ…」
「すごく…視線が痛いよ……」
「そぉ?」
「にーさんはすごいや…」
これはもうステンレスの心ではなく単に気にならないだけなんだな……。
俺は中学の時バンドを組んでて、文化祭で発表とかもしてたから視線にはなれてるつもりだったけど…、案外こういう視線は苦手だ。
俺達は事務所のある都心の方まで行く。
家が近めで、まぁ、歩きなんかほぼ無いけど歩いても行ける距離。特に今日は天気が良いから、とても気分がいい。
「あ、あれだよー」
「うわっでかっ」
「ほぼ俺の稼ぎだよね」
「わぁ……」
目の前には、ででーんと擬音がつきそうなくらい堂々と建っている、レンガの壁で出来た建物があった。
外観も内装も綺麗で、なんか場違いな感じ……。
「とりあえず、社長のとこ行こうよ。」
「いきなり!?」
「電話はしてあるもん!」
「あ、ぉ、おう、」
建物の一番上、三階に上がって廊下の突き当たりにある観音開きの扉に、兄さんがノックをすると、中から人の良さそうなおじさんの声が聞こえる。
「社長、昨日電話した件でお伺いしました。」
「あーまってまって!散らかってるから!えっとえっと……あ、あと1分!」
慌ただしい……。
「社長、元気なんだね」
「うん、いつもだよ」
「いつもなのか…。」
「まぁ、あんまり他の事務所は社長との交流なんて少ないけど、うちは社長が明るくて人が好きだからね、」
「へぇ……なんかいいね」
「ふふっ、でしょ?」
そんな説明をしてもらってると、中からいいよーっ!と聞こえてきたので控えめに開きつつ礼をして中に入る。
「こんにちはシズシズ、今日はスカウトの子のことだっけ?」
「はい、たまたま、スカウトの人が声をかけたのが弟だったので。」
「へぇ!それは興味深い!まぁまぁ座ってよ!」
「はい、」
俺達はソファに腰掛ける。
社長は、笑顔を崩さず話し続ける。
「いやぁ何にもなくてごめんね!それで、その弟くんはその子?」
「はい。」
「あっ、えと初めまして、十六夜時雨と言います。…兄がお世話になってます……」
「あっはは!律儀な子だ!初めまして、水雲プロダクションの水雲蜻蛉です。シズシズの弟の時雨だから…シグシグだね!」
「流行ってるんですか!?」
この人はもしや楝と同じ思考の人なんだろうか。……まぁそこはいいとして、本題だ。
「社長、特に発表は無かったみたいですけど、アイドルに挑戦すると言うことですよね?」
「あ、うんうん!ごめんね、ギリギリまで内緒にしておきたかったんだけど…。密かにスカウト始めててさ。大体の子がOKくれたんだよ!」
「何人、なんですか……?」
「人数は五人。ほか四人は決まってるんだ。」
これは断れないぞぉ!…そんな気無いけど。
「リストあるよ、名前とか以外は伏せてあるけど良かったら参考に。」
「あ、はい。」
俺はそのリストを受け取って見ていく。
すると、驚きの人物が映っていた。
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