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再会(?)
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時雨の目が、おかしくなったようだ。いや、正直言うと凄く綺麗だし似合っててその、うん、惚れ直した。
けど、ああいうのって徐々に変わってくものなんじゃないのかな……?
俺は医者じゃないし、そういうのは分からないからなんとも言えないんだけど。
そんなことを考えながら朝食の後片付けをして、私服に着替え歯を磨く。
当然顔も洗うじゃん?んで、顔上げるじゃん?ね?上げるじゃん?
「ひっ……!?」
一瞬、後ろに誰かいたんだ。
家には俺しか居ない……誰だ……?
もしかして幽霊とか……え、えー……。
意を決してもう一回顔を上げる。
居た。
にやーっと笑う……見覚えのある顔が。
「は!?」
バッと後ろを振り返る。
……いない。
そっか、いる訳ないよな、何年前の話だよって……
そう思ってまた鏡を見ると……
「はぁ!?!?」
「ひーっはははっ、ふー、ふー、おっもしろwwひーーwwww」
「えっ???えっ???んっ???」
「し、しずwwwwwひwしずく久しぶりッッwwww」
「え父さん!?!?」
そう、見覚えのある、父さんが後ろで腹抱えて笑っていたのだ。しかもツボってる。
でも死んだはず……あ、ゆーれい!
……えゆーれい!?
……いるんだぁ…。
「驚いたか??驚いたかっ?」
「……うん、慣れた!もー驚かないよ!」
「何だつまらん」
「知らんよ」
振り返っても何も見えない。
でも鏡には居る。
……俺には肉眼じゃ見えないのか……。
「鏡越しなら見えるのね、さみしー」
「……まぁ、今日大学も休みだし仕事もないというミラクルデーだし……話してよっかー、時雨来るまで」
「やったー!鏡越しなら話せるんだから便利なもんだね!」
父さんは無邪気に笑った。
きっと俺がこの年になってるから、素の自分で居られるのかな。
昔はもっとしっかりした印象で、ちょっと無理してたのかな。
「父さん知ってるぞ?雫が同性の方が好きなの」
「えっ!?」
「ふふ、父さんいいと思うな、確かに周りは変とかいうかも知んないけど、それは雫が気にすることじゃないよ。ね?……時雨だって、ちゃんと雫のこと好きなんだよ、信じてあげて?」
「……うん」
やっぱり、何もかもお見通しかぁ。
親には敵わないなぁ。
父さんは、癖で俺に手を伸ばしてきた。
でも、その手はすっと通り抜けて、触れることは無かった。
少しさみしそうな顔をして、こう言う。
「触れられるうちに、沢山触れ合うんだ。……そうしないと、後悔するから」
「うん」
言葉に重みがあった。
胸に染み込んで、久々に聞いた父の声で、ちゃんと胸に残った。
そしてその空気をブチ壊すように父の笑い声。
「いやぁー、それにしても雫も時雨も芸能人なんてなぁ! 父さんびっくりだぞぉ! こんなイケメンに育ちやがってー! 父さんの遺伝かな??」
「っはは、そーかもw」
「生きてたら今頃芸能人一家なれてたかな」
「頑張ればねー? そう言えば、時雨は見えてるの?」
「おう、アイツは強くてなぁ!真希も大喜び!」
「そっかー! よかった……」
会いたいと日頃、無意識にだろうが口にしていた時雨が、ようやく会えたんだなーと思うと安心した。
でもなんで今まで見えなかったんだろ……?
「ねぇ父さん、時雨の目の原因って分かる?」
「ぁあ、あれなぁ。……きっと、もともとアレだった筈なんだよな。」
「と、いうと?」
「施設にいる間、見る世界が限られていた。けど雫が引き取って、ちゃんと家族と過ごすようになって見え始めた世界があって、それで目覚めたんだろうよ」
「そんな事あるんだぁ……」
でもなんだか納得できたし、きっとそうなんだろうな。そうじゃないと、突然あんな宝石みたいになるわけが無い。
と、話しながら大きめの手鏡越しに父と話す。
「母さんは?」
「時雨の方だよー」
「分担制……??」
「うん☆」
「ていうかいつからいたの?」
「時雨がこの家に来てから」
「どこまで見てた?」
「風呂から自慰まd」
「御札どこだっけなー……」
「やめてよ!兄弟で同じ反応しないでよ可愛いから!」
「同じだったんだ……」
「にしても、よくこんなに立派な大人になって……マネージャーさんに感謝しなきゃね」
「そだねー、父さんにあったなんて言っても信じてはもらえないだろうけど。」
ぁあ、久々に聞いた声だなぁ……安心する…。
もう、悩みを全てさらけ出してしまいそうなほどに安心してしまう。
父さんと会えた、……母さんとも会って、あわよくばここで、壁はあれど一緒の時間を過ごしたい……。
そう、ふと思った。
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