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橙色と黄色3
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「そんな……。」
黄瀬は見るからに落ち込んだ。
床に体育座りで座りこんでるし……。
「俺は知らない人がいたなんて…。」
……うーん、ちょっとやり過ぎたかな。
『君、友だちいないでしょ。』
「はぁ?!」
あれ?うまくオブラートに包もうと思ったんだけどな。
余計に落ち込んじゃったよ。
『……そんなに無理しなくていいと思うよ。』
「えっ?」
黄瀬が俺の顔を見上げる。
『みんなに人気モデルだって言われて、ちやほやされて大変だったんでしょ?』
人気モデルって肩書きで色んな人が近づいて来て、モデルの“黄瀬涼太”じゃなくて普通の男子の“黄瀬涼太”を見てほしかったんでしょ?
本当は、普通の中学生みたいに友だちと遊んだりしたかったんでしょ?
自分を守るため行動だったんだろう……。
あの上から目線も人を見下す態度も、そうしないと自分を保てなかったんだろう…。
『俺は、モデルの仕事がどれくらい大変かは分からない…でも、君が無理してるのは分かるよ。』
俺は、座りこんでいる黄瀬の頭を撫でた。
『泣きたい時に泣いて、笑いたい時に笑いなよ。』
「……。」
黄瀬は、ずっと黙っている。
…あれ?やらかしちゃったかな…。
何も知らないくせに、知ったような口聞くなとか怒られるかな?!
俺の伝えたいことは伝えたから、別に怒られてもいいけど……。
『……。』
「……。」
また、気まずい沈黙の空気が流れる。
うーん、どうしよう……。
「……グズ。」←(鼻をすする音)
えっ?ちょっと何で泣いてるの?!
『大丈夫?!』
俺は、座りこんでいる黄瀬の顔をのぞき込んだ。
「うわぁぁん。」
『えっ??!』
涙と鼻水で汚れた顔を見た直後に、泣きながら抱き着かれた。
えーと、これどうしよう……。
とりあえず、泣き止むのを待とう。
『よしよし、大丈夫だよ。』
俺は、抱き着いている黄瀬の背中をポンポンと優しく叩きながら泣き止むのを待った。
『落ち着いた?』
「……はいっス。」
しばらくして、黄瀬は泣きやんだ。
抱き着かれた時は、正直凄くドキドキしたけど、泣いている黄瀬を見てたら小さい男の子見てるみたいで、途中からはドキドキしなくなった。
「…アンタの名前を教えてほしいっス。」
黄瀬は、少し照れくさそうに言った。
『俺は、橙山美月。』
「橙山っち、さっきはごめんっス。」
黄瀬はしゅんとしたあと、赤くなった。
「女の子に抱き着いて、泣いたりして…。」
……うん?今、何て言った??
女の子に抱き着いて、泣いたり??
『……黄瀬君。』
「はいっス?」
『俺は、男ですけど??』
「……。」
『……。』
「……えっぇぇぇぇええ!!あっ!確かにズボンはいてる?!!」
『……。』
「えーと、何かごめんっス…。」
『あーうん、大丈夫…気にしてないから。』
正直、少しは気にしてるけどね。
「改めて、橙山っち!俺と友だちになってくださいっス!!」
ガバッと黄瀬は俺の前で頭を下げた。
『うん、別にいいよ。』
「…っ!本当っスか?!」
黄瀬は、凄く嬉しそうな顔をした。
「これからよろしくっス!橙山っち!!」
『美月。』
「えっ?」
『これから、友だちなんでしょ?よろしくな!涼太。』
「…!はいっス!!美月っち!!!」
コレが俺と黄瀬涼太の出会いだった。
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