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十字協会
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浬の首筋に牙を突き立てる吸血鬼
もう終わったと諦めたその時だった
バンっと大きな音が響いた
そして浬を捕らえていた吸血鬼がバタリと倒れ浬も地面に膝を着いた
振り返ると血を流し倒れている吸血鬼の遠く後ろには数人の男達と銃を構えた一人の男が立っていた
そしてこちらに歩いてくる彼等は皆同じ黒い服を着ているが銃を持った一人だけ薄茶のコートを着ている
そしてその人物に浬は驚いた
「藜………?いや、違う……」
彼は藜によく似ていたのだ
けれど藜ではない
彼よりも少し若いようで20代後半くらいに見える
目の前にきた彼はしゃがみ浬を見る
「大丈夫か?」
「う、うん………」
「そうか、良かった」
優しい笑みを見せる彼は本当に藜のようで思わずすがってしまいそうになる
けれど彼は藜じゃない
伸ばしかけた手をそっと引っ込めた
そして彼は黒服の人達にまだこの辺りに他の吸血鬼がいないか探せと命じ彼等はこの場を離れた
それから再び浬の方に目をやる
「もう大丈夫だ
我々は協会の者だ」
彼は聖城帳(たかしろとばり)
さっきのは吸血鬼なのだと彼は浬が何も知らない前提で
色々と教えてくれた
そして彼は人に害の成す吸血鬼を制裁を下す為の協会のメンバーなのだと
それは初めて知る情報だった
人の血を吸ったりすればさっきの吸血鬼のように殺されるのだろうか
浬は自分も藜の血を吸っていると知られれば殺されるのかもと怖くなる
「それにしても一人か?
親や兄弟は?」
帳の問いに浬は首を横に振る
「人、探しに来た
帰ってこないから……」
「いなくなったのか?」
うん、と浬は頷いた
そして彼はどんな人?と訊ねてきた
自分が捜すと言ってくれた
「……えっと……帳に似てる」
「私に?」
「うん、名前は藜」
「____っ!!
………藜?」
帳は大きく目を見開き驚いた表情を見せた
藜を知っているという反応だ
「君は藜さんとどういう関係だ?」
「え?えっと……吸血鬼のとこから助けてくれた
ずっと一緒にいた、けど帰ってこない」
「そうか………
ならば私と来なさい」
「なんで……どういう事?ねぇ、藜を知ってるの?
ねぇなんで?」
何故彼が藜を知っているのか
何故一緒に来いと言うのか
浬は何がなんだか分からず混乱していまっていた
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