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集まる Side葵
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「ここ」
「へぇ、一軒家か」
「みーちゃん結局五人家族だっけ?」
「そうそう、親と俺と弟二人」
あーちゃんの質問に答えながらドアを開けて振り向いた。
「いらっしゃい」
「お邪魔します」
「おじゃまー」
二人が玄関に入りドアを閉めると、廊下の奥から軽い足音が聞こえて来た。
「あおい兄ちゃんおかえ・・・」
「あ、菊ただいま、友達連れて来たぞ」
「おー、藤宮弟か・・・そんまま縮めた感じだな」
「やっばいっ、めっちゃかわいー、こんにちはー」
「こんにちはーっ」
あーちゃんが菊を見て一気にテンションを上げ、菊も菊でいつも通りの元気さで対応している。
「うん、普通に可愛いわ。あ、もう一人の方は?」
「だろ?桜は多分部屋だと思う。とりあえず上がれよ」
「ん、分かった。おい、行くぞ」
「えぇー、俺もうちょっと菊君と戯れていたい」
「菊、おいで」
あーちゃんの希望通り菊を呼んで連れて行くことにした。
だが寄って来た菊をいつも通り抱っこしたら、何故か斗真が少し驚いたような顔でこちらを向く。
「ん?どした?」
「意外と力あんのな。小学生っつっても結構重いだろ」
「そうかな?まぁ日課みたいなもんだからなー」
二人の先頭に立ち、階段を上がる。
やたら菊が騒いでるから後ろからあーちゃんが何かしてるんだろうな、仲良くなれそうで良かった。
部屋の前について入ろうとしたら、反対側の扉が開いて桜が出て来た。
「あ、兄ちゃんお帰り・・・えーっと、この前言ってた人達?」
「ただいま。斗真とあー、らた」
「どうも、弟の桜です」
「お邪魔してます、葵君と同じクラスの矢部斗真です。敬語と呼び方は好きにしていいよ、俺あんまり気にしない人だから」
「ども、同じく新沼新です。呼び方はあーちゃんね、これ強制。タメ口でよろしくー」
「タメ口は・・・ちょっとあれなんで慣れてきたらでお願いします」
「ま、そだよね。でも桜ちゃんみーちゃんにすっごい似てるねー」
「ちゃん、ですか、えと、そうですね、よく言われますけど」
桜の様子を見た斗真が、あーちゃんの頭を軽く叩いた。
「あほ、男相手にちゃんずけすな。困ってんだろうが。桜君、気にしなくて良いから。
あ、後タメ口とか敬語とかは楽な方で良いよ、敬称着けて敬語が楽な人もいるからな」
「すいません何か気使わせちゃって」
「いやいや、元凶この馬鹿だから、おら行くぞ馬鹿」
「馬鹿じゃないもんっ、ねー菊君?」
「桜兄ちゃん、おやつあるってお母さんが言ってたよ」
「あ、ほんと?菊は?もう食べたの?」
「んーん」
「じゃ、一緒食べよっか。兄ちゃんパス」
腕の中の菊を桜に渡す時に、呆然とした様子のあーちゃんの顔が見えて吹き出しそうになった。
「それじゃあ、ごゆっくりどうぞ」
「あーちゃんばいばーい」
二人を見送って部屋へと入る。
「おぉ、結構・・・汚い」
「お世辞でもきれいとか言えよ」
「・・・みーちゃんもしかして菊君と一緒の部屋なの?」
あーちゃんが二段ベッドを見ながらそう言った。
「そうだよ、菊まだ一人じゃ寝れないし俺とか桜と寝たがるから」
「あー納得。だから何となくガチャガチャしてんのな」
「そーだねー、制服の周りに子供用のおもちゃが散乱してると違和感あるなー」
「そーか?ふーん、何か色々新発見が多いな今日は。ま、部屋の中の調査はそれくらいにして適当に座れよ。立ったまんまだと落ち着かないし」
そう促すと、あーちゃんはベッドを背もたれにして床に胡坐をかき、斗真は一言断ってから俺の勉強机の椅子に座ったので俺はベッドに腰掛けた。
引っ越してきてあまり日が経っていないこともあり、俺の部屋には遊ぶものが無かったので必然的に喋り倒すしかなかったのだが、同じ理由から色々と気になっていたことも聞けた。
そんな感じでたまに二人の漫才を挟みながらほとんど一方的に話を聞いてると母さんがお茶とお茶菓子を持って部屋に来た。
さっきの弟たちの様に自己紹介を済ませると母さんは速やかに出て行き、それを何かの合図にしたかのように斗真が話し始めた。
「・・・明石についてさ、お前ら何か気付いたか?」
「俺は・・・分かんなかった。最初よりも抵抗なく話してくれるようになったし、とりあえず知らないこと聞き出してる感じかな」
「新沼は?」
「んー・・・俺さ、他の友達とかに話聞いてみたんだけどさ・・・明石とおんなじ中学校だったってやつがいて。
そいつによると明石ってあんな感じになったの、高校入ってからなんだって」
「前はどんな感じだったって?」
「そんなに、変わっては無くて。中学の時も一人で居るのが多かったらしいけど今みたいに完全に遮断してるんじゃなくて、ただ別に自分からは絡まないみたいな、そんな感じだったって」
「話しかけたら普通に話せたって事?」
「まぁ、そうかな?少なくとも聞かれたことにしか答えないみたいなことは無かったと思うけど」
「そうか・・・って事は何かあるとするなら大体一年前からって事か」
「・・・」
「にしてもビビったよねー、林ちゃん急に呼び出すんだもん。俺何かしたかと思った」
「お前は常に何かしてんだろ」
「失礼なっ、こんなひんこーほーせーな生徒を捕まえて」
俺は二人の漫才を聞き流しながら、大林先生の話を思い出していた。
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