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調べる Side葵
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「お前らに頼みがある」
「「「へ?」」」
目の前でいきなり頭を下げた先生に、呼び出された俺ら三人は揃って間抜けな声を出した。
「え、えっと林先生?とりあえず話を聞いても良いですか?」
「あぁ、悪い早まった。それよりその林っての止めろ。俺は大林だ」
「えー、大林先生とか長いって林ちゃん」
「お前はまず先生を付けろ」
「あの、先生話は・・・」
「あー、まぁいいや。あのな、まず今から話すことは本来生徒に話すことじゃ無いから、教師だろうが親だろうが誰にも言うなよ。良いな?」
先生の表情が、明石の机事件の時のそれになって思わず背筋が伸びた。
「・・・よし。まぁお前らなら大丈夫だと思うけどな」
「先生、もしかして明石の事ですか?」
急に斗真が切り出したので驚いたけど、先生は真剣な表情で頷いた。
「あぁ、お前が気にしてたことが当たった。まだ分かんねぇけど多分な」
「そうですか、頼みって言うのは?」
「ちょ、ちょっと待ってよ。俺らは話についていけてないんだけどー」
「そうだったな、今言った通り明石についてなんだが・・・まず明石の身体にいくつか変な傷が有るの知ってるか?不定期で作ってるらしいんだが」
「あ、俺見たことは無いけど。クラスの・・・奴が」
転校初日の事を思い出して、胃が締め付けられる感じがした。
「そうか、他にも気づいてる奴がな・・・分かった。
それでその傷跡なんだが・・・まだ可能性の話だが、あいつの親御さんからつけられてるかもしれない可能性が出て来た」
一瞬間をおいて、周りの空気が冷たくなった気がした。
「それって、その、虐待・・・みたいな事ですか?」
「まだ断定はできない。
家庭の事情だからもしかしたらその意識が無いかもしれないし、明石自身別に気にしてないかもしれない。だとしたら俺らが口出して良い問題じゃなくなる。分かるな?」
「・・・はい、それで俺らに頼みって言うのは何なんですか?」
「様子を見て、何か変わったことが有ったら教えて欲しい」
俺は先生と斗真が淡々と話をするのを聞いていて、我慢できなくなった。
「先生っ、俺、明石にきいてみますっ」
「みーちゃん、気持ちは分かるけどそれは駄目だと思うよ」
「でも様子なんか見てたら、明石がもっとひどい事されるかもしれないじゃんかっ」
先生が俺の肩に手を置いて軽く叩いた。
「かもしれない。そうだ、まだ可能性の話なんだよ藤宮。
それに仮にその事実が有ったとして、お前明石が答えてくれると思うのか?」
「それは・・・」
明石って母さんとか父さんに殴られたりしてんのか?
してない。
明石って母さんとか父さんに酷い事されてんのか?
してない。
明石って虐待されてんのか?
お前に関係ない。
否定されるか拒絶されるイメージしか浮かばない。
「少なくとも俺は否定されたよ」
「聞いたんですか?」
「あぁ、聞けそうな雰囲気が有ったから割と直球でな・・・だから藤宮、お前の気持ちはよく分かる。ここに居る全員お前と同じくらい焦ってるし、不安なんだ。
来たばっかりのお前がそこまで明石の事心配できる方が、正直俺はむしろ凄いと思う。
でもな、頭冷やせ。慎重にならねぇと余計酷くなるかもしれないんだ、俺らのせいで」
「・・・はい」
「林ちゃん、とりあえず様子は見るけどさー、ぶっちゃけ俺分かんないよ?変わった事って言われても」
「分かる範囲で良い。俺の方でも明石の家庭環境についてもう一回見直して・・・あ、そうだ。お前らあいつが今叔父の家に居るって事は知ってるか?」
「初耳です」
「しらないっすねー」
「・・・」
頭の中で『家』という言葉が引っかかった。
最近誰かとそんな話をした気がする。
『・・・明石ってこっちのほうに家あんのか?』
『違う』
『え、でもこっちから歩いて来てたよな?』
『そうだ』
そうだ、明石の家の場所を聞いた時に・・・そういえば明石変なこと言ってたっけ。
でもあれって、もしかしたら・・・
「藤宮?どうした?」
「先生、明石の家ってどの辺にあるか分かりますか?」
「場所?あー、っとちょっと待て住所が書いてある書類は・・・」
「あ、大体の場所で良いんですけど。もしかして俺の家の近くとかですか?」
「ん?あ、そうそう。そう言えばそうだな、近くだ」
「みーちゃんそれがどうかした?」
「実は・・・」
俺はこの前の登校時のことを話した。
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