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明石光
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「初めまして、明石光ーあかしひかるーです」
白いワイシャツを軽く着崩した目の前の少年が、丁寧に頭を下げた。
苗字が同じだったので少し驚いた・・・誰なんだろう?
「初め、まして・・・明石太一です」
「知ってます。母さんのお兄さんの子供ですよね。僕は股従妹ってことになるのかな」
「おい、そんなことはどうでも良いだろ。光何で急に来たんだよ」
「煩い」
今までの雰囲気が嘘かのように、冷たくて鋭い視線を嫌いな人に向けた。
でも、俺の従妹?父さんの旧姓が明石だからそれは分かるけど、この人たちの・・・息子?
目の前の光と名乗ったその少年は、両サイドに立つ人間とは似ても似つかぬ綺麗で可愛らしい容姿をしている。
「わ、悪い。でも要件ぐらい良いだろ?」
「太一兄さん、ここから出て僕と一緒に来て」
「は?」
「ちょっと光、あなた何言ってるの」
話の展開が急すぎて、何が何だかわからなかった。
俺を兄さんと呼び、嫌いな人とどうでもいい人の息子で、でもその二人に対してかなり高圧的に接するしているこの少年が何者なのか。
何故俺を連れて行こうとしてるのか。
どこに連れて行こうとしてるのか。
俺は必死に考えを巡らせてみたが、理解が追いつく前にタイムリミットが来た。
「父さんたちで荷造りして。僕と太一兄さん外で待ってるから早くしてね」
光はその白い手で俺の腕を引いて、一度も振り返らずに外へと出て行った。
近くに有ったブロック塀に凭れた光が、俺の顔を見て腕を握ったまま小首をかしげる。
「太一兄さん。どうしたの?嬉しくないの?」
「何で?」
「何でって、太一兄さんあいつらに酷い事されてなかった?」
「酷い事って?」
「えっと、無理やり・・・犯されたりとか、色々」
あぁ、あれを酷い事と言うのか。
「された」
「でしょ?それが無くなるんだよ?嬉しいでしょ?」
「そう・・・だな。それは嬉しい」
「ふふっ、変なの。あ、何か質問とかある?」
正直分から無い事だらけだったが、全部聞くとなると面倒臭い。
だがそんな俺の気配を察知したのか光が先手を打つ。
「気になったことが有ったら言って?ほら、ちゃんと聞いて?」
「・・・さっき聞いたことだけど。君は」「光って呼んで。じゃないと怒るよ」
光が先ほど嫌いな人に向けた視線を向けてくる。
「光は、あの人たちの子供なのか?」
「一応ね、でも今は一人で暮らしてる。お金だけ貰って」
「あの人たちは何も言わないのか?」
「うん。っていうか言えない」
「何で?」
「んーそれは・・・ま、時間あるしいっか。太一兄さんがさ、さっき犯されてたって話したでしょ?僕も狙われてたんだよねー、ほんっとキモイよねあの豚。
それで、僕は犯される前にそれが分かってたから逆に睡眠薬で眠らせて、裸にしてキモイおもちゃをいっぱいつけてる写真とか撮って脅してるの」
「・・・俺はこれからどこに行くんだ?」
「僕の家」
「どこにあるんだ?」
「どうして?」
「学校があるから、遠い所だと早起きしなくちゃいけなくなる」
「あははっ、太一兄さん朝苦手なの?大丈夫だよ、逆に少し近くなるくらいだから」
「そうか・・・」
訊いてみれば気になる事はそんなに無かった。
そして俺が質問を出し切ったところで、あの人たちが俺の荷物と思えるものを抱えて出てくる。
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