アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
それはやきもち Side葵
-
「みーちゃーん、元気だ―してー」
「うん」
「どした?腹でも痛いか?」
「いや、別に」
俺、何であんな事したんだろ。
絶対明石こっち見てたし、俺思いっきり目逸らしてすっげぇ嫌な奴じゃんか。
目逸らしたから怒ってるの見たく無くて、結局背中向けて・・・子供みたいだ。
「・・・んー、もしかしたら疲れが出てんのかもね」
「あーかもな、こっち来てから一週間ちょいか。色々あったもんなぁ」
「よーし、それじゃあ愚痴タイムだ。みーちゃんよどんと来い」
「逆に言いづらいだろ、馬鹿。でも藤宮何か溜まってんなら言えよ?お前あんまり愚痴とか零さねぇタイプっぽいし」
それは・・・そうかもしれない。
心配を掛けたく無くて疲れているのを隠していたりすると、桜にもよく『兄ちゃんが弟に頼ったって別いいと思うけどなぁ』って言われたりするし。
「みーちゃん、無理にとは言わないけどさ。頼っていいんだよ?友達なんだし」
「ん、ありがと・・・実はさ、何だろ。ちょっと言いづらいんだけどさぁ。明石見てると何か、ちょっとだけ変な気分になってさ、もやもやする」
はぁ、とため息混じりにそう言うと、斗真が面白そうに吹き出して、あーちゃんは怪訝そうな表情でそれを見ていた。
「くっ、っはは。あーそういう事な、うん。藤宮分かりやすいわ」
「今の笑うとこ?俺よくわかんないんだけど。みーちゃんあんなに明石のこと気に入ってたじゃんか、何で急にそういう感じになってんの?なんかされたの?」
「そういうわけでも無くて・・・俺もよく分かんないんだよ。朝は確かにいつもより楽しかったし、それまでは普通だったのに」
斗真は依然として、笑い続けている。
それが少し気に入らなくて、投げやりに質問した。
「何だよ。斗真はそんなに俺の不幸が楽しいのかよ」
「ははっ、違う違う。あー面白。えっとな、じゃあ一つづつ整理してみよーか。まず藤宮が楽しかったのってどんな時?」
「うーん。挨拶と一緒に一言帰ってきて会話になった時とか、あんまり嫌な顔しなくなったこととか?」
「そうだよな。じゃあ次に嫌な気持ちになった時は?」
あんまり、思い出したくない。
「・・・体育の時にペアの奴とハイタッチしてた時とか、さっきも飯他の奴と食う話してた時とか」
「あ、俺分かったかも・・・ふっ、あははっ。みーちゃんかーわいーっ」
「あーもう頭撫でるなってっ、止めろってばっ」
「な?面白いだろ?」
「何だよ二人とも俺の事だぞ、俺にも教えろよっ」
ふと、あーちゃんが頭を撫でるのを止めて、俺の両肩を抑えて顔を正面から見据えた。
「や、き、も、ち」
「焼いてるんだよな?」
いつも言い合いをしている二人が、素晴らしく息の合った言い方で告げたその内容を理解した瞬間、俺は顔から火を噴きそうになった。
「やき、い、いやそれは、違うしっ、そうじゃないからっ」
「みーちゃん寂しくなっちゃったんだー」
「まぁあれだけ構い倒してればな」
「煩いっ、馬鹿っ、ばーかっ」
「餌あげてた犬が他の人に懐いちゃったみたいな?」
「お前例えが・・・でもまぁそうか。くっ、ははっ、まぁまぁ落ち着け藤宮。ちゃんと相談には乗ってやるから」
明らかに人をからかって楽しんでる二人に軽く殺意すら覚えたけど、急にまじめな雰囲気になった斗真の話が気になって俺は大人しく座りなおした。
「俺は、んー、別にお前が明石の事取り返したっていいと思う。多分明石にあそこまで絡んでたのお前だけだし」
「明日はちゃっちゃと声かけて見たら?ってかさ、もうずっと一緒に食おうぜって約束取り付けちゃえばいいじゃん」
「・・・いい、かな?でもやっぱりそれはちょっと図々しくないか?明石も嫌がりそう」
「「今更だろ(でしょ)」」
「・・・」
「そうだとしても、明石はお前の事結構気に入ってると思うし」
「どうして、そう思う?」
「それは・・・勘」
「一番大事なところが」「まぁまぁ、とりあえず声かけて見よーよ。ね?」
まぁ、それもそうかもしれない。
駄目だったら駄目でまた考えればいっか。
「よっしゃ。じゃこの話終わりなっ。飯食お」
「ん、やっと調子戻ったな」
「ちぇー、さっきのみーちゃんも可愛かったのに」
「可愛い言うなっ」
二人と友達で良かったって、怒りながらだけどこの時ふとそう思った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 48