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どこ…………? 3 side茜
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お袋が呼んでいるのが聞こえた。走って行くと翡翠さんが縁側に座り込んでいて、その肩は震えていた。お袋が何か止めているけど、止まらないらしい。
二人にするようお願いして、翡翠さんの眼鏡をポケットから取り出す。
「じっとして」
「ぅー……」
眼鏡をかけてあげて、震えている手を掴む。強くは握らず、包むだけ。
「何もしないから。ほら、ね」
焦点がようやく合った目が俺をとらえる。お互い無言のまま、どれだけ経過しただろうか。気づけば翡翠さんの震えは止まっていた。
「翡翠さん、休もう?」
腕を引くと、簡単に付いてきてくれた。翡翠さんを寝かせていた部屋まで手をつないで歩いて、かまくらのようになっている布団に翡翠さんを寝かせる。
「どこにも行かないから」
眼鏡を外して、濡らしたタオルで口許を拭う。
吐いたらしいから、口ゆすぎたいかな。洗面器とペットボトルの水で口をゆすがせる。睡眠薬を溶かした水を飲ませて、翡翠さんの横に座る。
「あかねくん、僕、」
「起きたら聞くから。お休み、翡翠さん」
うとうとし始める翡翠さんに笑いかけて、整った寝息が聞こえてきたら、携帯を持って静かに静かに部屋を出た。
嘘ついてごめんね、翡翠さん。
起きる頃には隣にいるから。
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