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一難去って…… 4 side茜
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「あなた以外に知っている人がいない空間に放置されて、彼がパニックにならない訳がありませんから」
「え!?」
「翡翠さん、パニックになりやすいですからね」
お邪魔しますよ、と門を潜る真音さん。あ、そのまま行くの!?部下に捕まるよ!?
「誰だテメェ」
「茜さんの友人です」
「茜さんの!」
さらりと嘘をつく真音さん。まぁ、緊急事態だし、そういうことにしておこう。そして部下のお前は何で疑わないんだよ。
「茜!お嬢さんが!」
「?、お嬢さん?」
縁側を走って翡翠さんを寝かせていた部屋に向う。兄貴のなだめるような声と、翡翠さんの暴れるような音と声。
「翡翠さん!」
「どいて」
兄貴さえ退かし、翡翠さんの前に屈む。
「翡翠さん」
「っふ、ぅー……」
「触れてもいいですか?」
「っく……」
そっと抱き込む真音さん。翡翠さんも暴れない。とんとんと規則的に背中を叩いている。翡翠さんは肩に顔を埋めて呼吸を整えている。
「ぅぇ……っ」
「吐いていいですよ」
衣服が汚れる事を気にせず、拒絶することも無かった。
「ゆっくり呼吸してください。ゆっくり吸って」
慣れているのか、翡翠さんの呼吸が落ち着いて、次第に寝息に変わってきた。
「すいません、なにか拭くものと、着替え貸していただけますか?」
「え?えぇ……」
お袋が取りに行って、兄貴と俺が真音さんに対峙する。表情が見えないから、何を思っているのか分からない。でも、翡翠さんが落ち着いているのが悔しかった。俺にも見せてくれたことがあったか覚えが無いくらいの、すごく安心している表情。
「お前、何者だ?」
「翡翠さんの友人です」
「そんなことはどうでもいい。お前は誰なんだ」
「琴宮真音といいます。獅子ヶ谷高校の二年です」
決まり文句のような言い方に、声を上げたのは俺だけだった。
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