アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
おでかけ 6
-
部下の方が運転する車に乗って、揺られながら僕の住んでいたアパートに向う。住所はとっくに知っているらしくって、案内は必要ないらしい。部下の……えっと、茶山さんにお礼を言うと、お夕飯のリクエストを控えめに教えてくれたので快諾した。
「翡翠さんって、何でも作れるの?」
「うーん基本的な和食はお祖母ちゃんに習ったけど、あとは独学かなぁ。一応調理系の専門学校出てるから、料理は得意だし、調理師免許もあるんだよ」
「翡翠さん、何というか……」
言いたい事はなんとなく分かるから、そういう目を向けないでほしいなぁ……今横からぼそっと「花嫁修業」って聞こえたんだけど!?
「翡翠さん、具合悪い?」
「大丈夫だけど……?」
「あ、よかった。この車防弾ガラスだから景色ちょっと歪んで見えるんだよね」
「そうなんだ」
防弾と言われて、妙に納得しているのは、あの環境に馴染んできたのだろうか。両隣を琥珀さんと茜君に挟まれて、琥珀さんは何もしていないけど茜君はスキンシップが凄い。手を握るところから肩を抱いたり、顔を近づけたり。
「あ、茜君近いよ?」
「そう?翡翠さんの顔が綺麗だからもっと近くで見たいからかな?」
横から琥珀さんの視線が刺さるんだけどなぁ……
「アパート……ねぇ」
「そうでも言ってないと、僕の身丈に合ってないでしょう?」
目の前にそびえている、十数回建てのマンション。
「居酒屋の厨房やってるだけで、こんな所に住めるわけ無いでしょう?」
「あいつらか」
少しだけ頷いて肯定する。兄さん達が用意した、僕を閉じ込めるための箱。何度も逃げようとしたけど、無駄だった。
「翡翠、顔色が悪い」
「だい、じょうぶですよ」
行きましょう、と促して、一歩、足を踏み出した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
100 / 111