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拾い者 5 side茜
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さっきの呼び鈴は、恐らく兄貴。
翡翠さんびっくりするだろーなー。兄貴背ぇ高いし。
「ぃやぁっ!!!」
「っ!?」
玄関の方で、何か倒れる音と、翡翠さんの悲鳴が聞こえた。
まさか、兄貴が翡翠さんに何かしたんじゃ…?!
「翡翠さんっ!」
「やめっ、おねがっ、ぁっ!!!」
「ッッ!?」
玄関先で尻餅を着いている翡翠さんと、兄貴とその部下数人。
って、そこじゃない!
翡翠さんの様子が明らかに可笑しい。兄貴達は状況が掴めてない。
「翡翠さんっ、俺!判る?!」
「やっ、いゃっ、あぁっ!!!」
肩を掴んで呼びかけるけど、返事処か拒絶するかのように振り払われた上に、翡翠さんの呼吸が可笑しい事に気付いた。
自分で首を絞めるかのように両手で首を押さえて掻き毟っていたからか、包帯がずれて、血が滲み始めた。
眼鏡越しに怯えるように目を潤ませ、拒絶するように声を上げている。
「翡翠さんっ!」
「退け茜っ!落ち着け!俺は何もしない!落ち着け!!」
「やだやだっ、こゎっ……っひぁっっ」
知識の乏しい俺でも判る。混乱状態な上に、過呼吸になっていっている。
「翡翠さん落ち着いて!」
服の袖を引っ張って、翡翠さんの口許に宛がう。
「っはっ、はっ、はっ…」
「そう、ゆっくり吐いて」
対応すること約5分。徐々に翡翠さんの呼吸が安定してきた。
「……つき、はぎ、くん?」
「…大丈夫?」
「………すみません」
か細い声で俺に謝り、俺の手を借りて立ち上がる。
……翡翠さん、軽い。
「……茜、帰るぞ」
「待てよ。この状態で翡翠さんを置いていけと?」
「僕なら…大丈夫です……」
「大丈夫じゃないよ?!兄貴も何かしたんだろ?!」
「やってないが……」
「嘘つけぇ!!」
「ひっ!!?」
「ごめん翡翠さん!怯えさせるつもりじゃ!」
俺と翡翠さんと兄貴は、リビングで状況を整理する事になった。その間、部下は廊下に居て貰う。
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