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拾い者 6 side茜
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「お見苦しいところをすみません…」
リビングの机で、俺は兄貴にもカフェオレを出して、兄貴の横に座る。勝手にキッチンを借りて、甘いものが苦手な兄貴に砂糖たっぷりのやつを。
翡翠さんに温めのちょっと甘いやつを。
「大丈夫?翡翠さん」
「……何かあったのか?」
「…僕は、黒い服と白衣が怖いんです」
変ですよね。って目の前で力なく笑う翡翠さん。
巻き直した包帯が痛々しい。
「学生時代に虐められたか」
「……よく判りましたね、と言いたいですが…それもあるんですけど…」
「?」
「僕、昔1度誘拐されたことがあるんです。犯人は黒いスーツの集団で、恐怖でしかなくって…」
「暴行された?」
「……それなりには」
言葉を濁して、目を逸らされた。
「白衣は医者か?」
「高校の化学教師です。医者も少しは関係してるんですけど……」
「話してみろ」
「僕に言いがかりをつけて、硝酸、原液をかけられました」
「!!」
「医者は…ごめんなさい、」
「無理しないで!翡翠さんが辛かったら止めて大丈夫だから!!」
小さく震える翡翠さんに、慌てて言った。
「翡翠と言ったな」
「…はい」
「茜を拾ってどうするつもりだった?」
「…どうするつもりもありませんでした。僕が帰ってる頃には帰ってると思いましたし…」
あー、兄貴怒ってる。
「茜、何故連絡しなかった」
「恩人にちゃんとお礼も言わずに出ていくほど俺は馬鹿じゃない」
「大人数で奇襲されて起き上がれなかったのは何処のどいつだ」
痛いところを突いてくる。
翡翠さんは怯えながらも俺達を見つめていた。
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