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拾い者 10
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「今度ちゃんとお礼したいから!ね?」
「必要ない」
「俺にはあるっつってんだろ糞兄貴」
「あ、茜君、僕はお礼言われるようなことしてないし…もうお兄さんや親御さんに心配かけさせちゃダメだよ?」
「翡翠さんダメです上目遣いとか反則です!」
「へ?」
真っ赤になって僕に飛び付く茜君。
お兄さんの視線が僕を串刺しにしてるけども……
「翡翠さん待ち受けにしたいんでもう一回お願いします!」
「いい加減帰るぞ」
「うっせぇ兄貴。翡翠さんの上目遣い写メってからメアド交換するまで待ってろや」
「……連れて帰れ」
「ちょ、まっ!」
「う、わっ!?」
黒い服の人達に囲まれて、後ろに後ずさる。
僕よりも太い腕が伸びてきて、思わず目を瞑った。
「違う、そこの愚弟の方だ」
お兄さんの制する声に、恐る恐る目を開ける。
「待てっつってんだろーが!」
「あ、茜君!こ、これ、僕のアドレス!あげるからもう帰って!!」
さっきからは想像できない剣幕で怒っていた茜君に、近くにあったメモを千切り、走り書きしたアドレスを押し付ける。
「改めてお礼するから!」
茜君の声と、玄関の扉が閉まる音が聞こえて、僕は壁に凭れたまま、ずるずると体を落とした。
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