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フリーマーケット
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2ヶ月に1回のペースで、僕の住んでいるマンションの向かいにある公園で行われるフリーマーケット。通称、「青空市」。なかなかのネーミングだと思う。
出店する人は事前に登録しておくこと、毎回出品しなくてもOK。出店する人はエプロンをつけて名札をつけること。これさえ守れば自由に出店できる。最初は作りすぎたペンケース達を如何しようか困ってたらこの「青空市」の広告を管理人さんに貰って、気紛れに出したら好評だったからずるずると続けてる。
「あら薄原さん、おはようございます」
「あ、篠山さん。おはようございます」
「今回も手作りの?」
「はい。気に入ってただけると良いのですが」
そこまで大きくない段ボールには、茜君が帰ってからと、それ以前から作っていたペンケースやブックカバーなどを詰め込んできた。
「薄原せんせー!」
「あ、おはようございます」
「せんせー今日も出すの!?」
「うん」
教え子(仮)達に囲まれつつ、遠くから男の子達の痛い視線を受けながら品物を並べる。
「せんせーこれ欲しい!」
「350円だよ」
「高い!」
「そう?」
「こら、先生困らせないの」
兎柄の布に、白いレースとピンクの布を使ったペンケースを気に入ったらしい教え子の1人が高いと文句を言いながらもちゃんとお金を払ってくれる。
「にしても、先生、お裁縫上手ですね」
「祖母に習ったんです。身体が弱いから、祖母の見よう見まねで」
「お祖母さんに?さすが」
「そうですか?」
お祖母ちゃんは器用な人だった。母親は不器用で、料理も苦手だったから、お祖母ちゃんに家事は習ったなぁ。
「あらぁ翡翠ちゃん!今日も別嬪さんねぇ!」
「狭川さん、真山さん、おはようございます」
楽しそうにはしゃぐおば様方も、僕にとっては大切な人だ。目の保養とか言ってるけど気のせい。
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