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決断
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「……まさか、あれ…」
小瀬が電話の向こうで小さく嗤うのが聞こえる。
『……やぁーっと思い出したんだ』
「…そんな、冗談だったんじゃ…」
『冗談?ひどいなあ、人が本気で言ってるのに冗談だなんて勝手に解釈して話を取り合おうともしないで』
いつもより低めの声。
思わず携帯を持つ右手が汗ばむ。
…何でそんなことしようとしたんだ、とか俺なんかを性奴隷にして何が面白いんだ、とか言いたいことはたくさんあるはずなのに、返す言葉が見つからない。
小瀬はおちゃらけた声色に戻って続ける。
『……それにしても涼真くん、可愛いそうだよねえ。なーんにも悪くないのに和哉くんのせいで監禁されちゃってさ』
俺の、せい…?
『長年親友だと思っていた人にいきなり告られてやりたいように身体を弄ばれて、終いには和哉くんのせいで知らない人に監禁されてレイプされて……涼真くん、和哉くんのこと、嫌いになっちゃったかもねえ』
喉がひゅっと情けない音をたてて萎縮する。
沈黙が続く。
『最低だね和哉くん』
……確かに、俺の犯した行為は許されないことだ。
…でも、俺は、あの時どうするべきだったんだ?
長年思い続けた涼真に恋人ができたと知り、しかもそれが涼真と俺と三人で仲良くしていた幼馴染の一人だったことが判明し、あの状況下で俺はどんな判断を下すのが賢明だったのか。
絶望しあぐねて頭を擡げていると、ふと電話の奥から小さな声が聞こえた。
『涼真くんを救う方法なら一つあるよ?』
その囁きは、あまりに妖麗で、そして危険な香りがした。
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