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肯定
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「うん、関係ないよ」
「……え」
あの小瀬のことだ、俺の言葉に対して頭に血がのぼり、また首を締められることを覚悟の上で強気な発言をしたのだが、小瀬は俺の言葉に嫌な顔一つせず、当たり前と言わんばかりに肯定した。
「……なん、で」
「言ったでしょ?俺は、和哉くんを手に入れるためなら手段を厭わないって」
「でも、本当に相手のことが好きなら、こんなことはしない!和哉が嫌がってるのが分からないのかよ!ちゃんと相手を思いやるだろ普通なら!」
「普通なら、ね」
小瀬の双眸が微かに揺れる。
ーーだけど、俺は普通じゃない。
そう言いたげな視線を涼真に寄越したあと、小瀬は小さく溜息をついた。
和哉の上から退き、黒い箱の中からシャツとジーパンを取り出すと、涼真の前に置く。
「いつまで全裸でいるつもり?早くこれ着たら」
「……えっ、あ」
小瀬の予想外の行動に思わず間抜けな声が出る。
「学ランなら石川が持ってるから。それまでこれ着て。ほら、早く」
「あ、…うん」
のろのろと渡された服を着る。
「……ありがとう」
「分かったらさっさと出て行って。君の役目はもう終わりだから。……石川!」
はい、と低い声が扉の向こうから聞こえ、静かにドアが開く。
「涼真くんのこと、家に帰してあげて」
「はい」
石川は、ちらりと涼真を盗み見ると、黙って涼真の左手をひいて部屋の外へと出ていく。
閉まっていくドアの中で最後に見たのはーー和哉の縋るような寂しげな目だった。
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