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核心
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「お願いします…!!和哉を助けるのに手を貸してくださいお願いします!」
深々と頭を下げる。
来夏に手を貸してもらうということは、来夏にも危険が降りかかるということだ。
しかも、相手は、かの有名な小瀬グループの御曹司。
何をされるか分かったものではない。
すると、頭上から、「もちろんだよ」という軽い返事が返ってきた。
躊躇いのない言葉に安堵し、顔をあげる。
「…ありがとう…!!」
「当たり前でしょ。和哉は涼ちゃんの親友である前に、俺の親友でもあるんだからね」
だから、と来夏は続ける。
「この場を借りて言うのも変な話なんだけど、……俺、和哉の涼ちゃんへの気持ち知ってたし」
「え?」
ーー来夏は、和哉の僕への気持ちを、知っていた。
どういうことなのだろうか。
「実を言うと、和哉は、俺が涼ちゃんを好きになるよりずっと前から涼ちゃんのことが好きだったんだよ。昔から相談乗ってて、さ。でも、和哉から惚気話聞いてるうちに段々俺も涼ちゃんのことをそういう目で見るようになってて。気づいたらーー本気で涼ちゃんのこと好きになってた」
最低だよな、と小さく呟く来夏の背中が小さく見える。
「涼ちゃんの気持ちを自覚してから、和哉に俺の気持ちを正直に伝えた。和哉は、まさか俺が涼ちゃんを好きになるなんて思ってもみなかったみたいだけど、『俺たちってこんなところまで似てるんだな』って笑い飛ばしてくれた」
来夏は続ける。
「告白しないってお互いで決めてたわけじゃなかった。でも、暗黙の了解みたいなもんだったんだ。それなのに、俺は自分の気持ちを認知してから涼ちゃんを独占したいという気持ちが先走って和哉の気持ちを考えることができなかった。ーーもちろん、涼ちゃんの気持ちも」
「ーー僕の?」
「そう。涼ちゃんは、本当は和哉のことが好きでしょう?」
顔が紅潮するのが分かる。
……やめてほしい。僕は、来夏の恋人で……そう、和哉へのこの気持ちは不純なものなのだから。
こんな感情、持ってはならないものなのだから。
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