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幸せ
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小瀬は目を見開いてこちらを見ている。
ーーもはや、言葉を紡ぐことすらもできないというように。
「……なん、で…?……俺は、和哉くんを心身ともに傷つけたし、この罪は許されるものじゃない。それに、和哉くんは現に涼真くんのことが好きなんだよね…?」
「涼真のことは……もうなんとも思ってない、よ。確かに小瀬は俺も涼真も傷つけた。でも、悪意がないにしても俺が小瀬を傷つけたのは事実だし」
小瀬は、潤んだ目を何度か瞬かせると、まっすぐこちらを見つめた。
そして、これだけははっきりさせておきたいんだけど、と前置きする。
「……和哉くんは、俺のこと好き?」
ーー好き。
俺は、小瀬のことが、「好き」なのだろうか?
「正直なところ、好きとかはまだよく分からない。でも、だからって中途半端な気持ちとかじゃない!小瀬なら俺を心から愛してくれると思ったっていうか、求めてくれると思ったっていうか……上手く言えないけど、俺はこれから小瀬の隣りで笑っていたいって思ったの」
素直な気持ちだった。
小瀬のことが好きなのかと聞かれると、まだそうではない。
だけど、これから小瀬とたくさんの思い出を作っていきたい。幸せに、なりたい。
ぽかんとだらしなく口を開けた小瀬を見ると、何だか自然と笑みが零れる。
ーー可愛い、俺の恋人。
これでよかったんだと自分を納得させ、呆然としている小瀬に手を伸ばした。
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