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来夏
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涼真と和哉は席についた。
教卓では、担任の先生が点呼をとっている。
「岡本」
「はい」
「沖」
「はい」
「小瀬」
「はいっ」
点呼が終わり、先生が部屋を出ると、一斉に生徒たちが話し始める。
「なぁ、涼真ー」
「んー?」
涼真は、自分のバックの中をガサガサと大きな音を立てながら、何かを探している。
「どうした?何か忘れ物?」
「携帯どこやったかなー…って思ってさ。持ってきたと思うんだけどなー…」
話しながらも、懸命に携帯を探す手は止めない。
その時、和哉は、床に落ちている黒い物体を視界に捉えた。そして、それを手に取る。それは和哉の見慣れたものだった。
「涼真、これじゃねー?」
涼真は、探していた携帯を視界に捉えると、ぱっと明るい笑顔を見せる。
「和哉ありがとう!え、どこにあった?」
「床に落ちてた」
「マジか!サンキューなー」
「おう」
涼真は、和哉に礼を言うなり携帯に視線を落とす。
そして、微笑を浮かべながら文字を入力していく。
「ラ○ン?」
「違う、メールだよメール」
涼真は目線を上げずに答えた。
「誰とー?」
「あぁ、来夏(らいか)と」
来夏は、涼真と和哉の幼馴染で、幼稚園の頃から中学時代までよく三人で遊んでいた。
「来夏と?中学卒業して以来あまり会ってねえなあ。来夏部活で忙しそうだし。元気にしてるかなー」
「うん、すごく元気だよ!もう元気すぎて疲れるくらい」
来夏の話をしながら、ふふっと笑う涼真を見てなんだか嫌な予感がした。
「……何でそんなこと知ってるの?」
「まぁ付き合ってるしな!」
驚きのあまり立ち上がる和哉。
「は?付き合ってる!?」
立っている和哉に怪訝そうな視線を送る。
「え、ごめん、言ってなかったっけ?」
「聞いてない、よ……」
和哉は、力なく席に座り直した。
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