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帰れない
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何とか、目の前の天使を無事に天界へ返してあげたいと思うルシファーの言葉に、ふるふるとマナエルは首を振る。
「だ、だめ…帰れねぇ…」
「心配しなくても、ちゃんと天界へ…」
「違う…」
「?」
「だ、だって、絶対父さんに怒られる…」
顔を真っ赤にして俯くその姿に、ルシファーは
(か、可愛い…)
完全に恋に落ちていた。
「そんなに恐いお父さんなんですか?」
父親に怒られるのが恐いなんて、可愛いなと思うルシファーだったが、
「恐い…、ウリエルは…」
と、呟くマナエルに一瞬固まる。
随分と聞き覚えのあるその名前は、ルシファーの古い知人であり、天使時代の仲間だった。
が、天使時代、よくライバル視され、一方的に突っかかられては怒鳴られた。
ルシファーが右と言えば、左と言い、白と言えば黒だと言い張る。
そんな、若かりし頃の思い出が通り過ぎ、ルシファーは苦笑いをした。
「それは、恐いですね…」
しみじみと言うルシファーに、マナエルが不思議そうに首を傾げる。
「ウリエルは古い知人なんですよ」
その言葉にパッとマナエルの顔が明るくなる。
「ルシファーは、父さんの友達なんだな!」
素直なマナエルの言葉に、思わず首を捻って考える。
自分とウリエルは到底友達と呼べる程の親密な間柄ではないが、それでもかつての修行時代、苦楽を共にした仲間である。
そう考えれば、友達という言葉も、あながち的外れでもない様な気がする。
「まぁ、そうですね…」
頷くルシファーに、マナエルはようやく安心した様に笑った。
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