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ウリエルからの手紙
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バタンとドアが閉まり、マナエルを連れてアポリオンが出て行った。
サリエルの頬にはくっきりとアポリオンの手形がついている。
「アポリオン…、そんなに私と離れたくなかったんですね…」
「相変わらず、おめでたい頭をしてますね」
はぁはぁと浅い呼吸を繰り返しながら、アポリオンが残した手形を愛おしそうに撫でる姿は、はっきり言って気持ちが悪い。
きっと、サリエルに指図されて行動するのが、本当にムカついたのだろう。
サリエルは特に変な事は言っていないが、それでも癪に触ったので一発食らわせたに違いない。
「それより、ルシファー。貴方、ウリエルの子供を拉致監禁してるそうですね」
「は、はぁ!?」
「天界でもっぱらの噂ですよ」
「な、何ですって!?してませんよ、拉致監禁なんて!」
「まぁ、上級天使は誰も貴方がそんな事をするとは思っていませんが…。ラジエルなんかは面白がって大爆笑でしたよ」
「ラジエルは今度しばくとして、何故そんな噂が…」
「噂の出所はウリエルです」
「………………」
「………………」
「…………え?」
「ウリエルです」
「いや、聞こえました…よ。……え?僕、ウリエルに御子息が魔界に迷い込んできてしまったので、暫くこちらで預かる旨と、反省してる様だからあまり叱らないでやってくれっていうクソ丁寧な伝達をしたんですが…」
「………、私もウリエルと付き合いが長いので言わせてもらいますが」
「どうぞ…」
「その、貴方の親切丁寧な伝達に、ウリエルはこう解釈したでしょうね。
『ガハハハ、テメエの息子は預かった!どうだ、悔しいか!悔しいだろう!悔しかったらこの俺様に跪いて、息子を返してくれと泣いて縋るんだな!まぁ、貴様ごときが、この俺様に敵うはずはないが、そうしてる間にテメエの息子は死ぬよりも辛い目にあってるって事を一時たりとも忘れるんじゃねぇぞ、このウスノロが!』
…とね」
「なんでじゃーーー!!!!!」
「昔から思いこみの激しい所がありますからね。貴方の事となると特に。これ、ウリエルからの手紙です」
サリエルが取り出した1通の手紙を、僕は震える手で受け取る。
恐る恐る手紙を取り出し、震えながら手紙を広げた。
そこには、真っ赤な血文字で
『殺ス…』
とだけ書かれていた。
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