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悪魔貴族ベルフェゴール公爵
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「ルシファー!ルシファーはいるかぁ!!?」
この無遠慮な忌まわしい声は誰かなんて、嫌という程知っている。
僕はまた五月蝿いのがやってきたと頭を抱えた。
「べ、ベルフェゴール様!?我が主はお忙しく…」
「はんっ、そんな事は知った事か。吾輩の用も急を要する。どけっ!」
「し…しかし…!」
アポリオンの困った声に、また五月蝿いのが来たとため息を吐いて、入り口の方へと向かう。
「何です、騒々しい…」
「る、ルシファー様っ!」
アポリオンが助けを求める様に視線を送ってくる。
「ふんっ、居るのならとっとと出て来い」
「生憎仕事が立て込んでいたもので」
ベルフェゴールの傲慢無礼な態度にひくりとこめかみが動くが、静かに怒りを飲み込む。
「吾輩が提出した議会案の返事があまりにも遅いので、こうして吾輩直々にどうなっているのかと聞きにきてやったのだ」
このベルフェゴールは、事ある毎に城を訪ねて来てはいちゃもんをつけていく。
堕天してすぐに魔王に成り上がった僕がいけ好かないのが理由なのは明らかで、毎回態々文句を言いにくるのだから厄介な存在である。
更に厄介なのは、由緒正しい悪魔の貴族で、腹立たしい奴ではあるが、魔界の実力者の一人なだけに部下達も無下に出来ず、毎回城の中まで強引にやってきてはこうして突っかかってくるのだ。
ベルフェゴールの城は僕の城の隣りの領地なので、それはもう頻繁に。
「その件に関してはまだ決定していません。大体、悪魔議会はまだ先でしょう?貴方そんな事を言う為に態々来たのですか?全く、暇そうで羨ましいですね」
「なっ!?何だと!?」
面倒くさそうな僕の態度が気に入らないのか、ベルフェゴールが苛立つ。
まぁ、僕が何を言おうが気に入らないのでしょうが。
「そんな事を言いに来ている暇があれば、前回の議会の部族抗争問題を速やかになんとかして頂きたいものですね。アレは確か貴方の管轄でしょう?その、御自慢の頭を少しは役立ててみせて下さいよ、公爵殿」
ベルフェゴールが手を焼いている問題を突きつけてやれば、サッとベルフェゴールの顔色が変わる。
「き、貴様…、なんと無礼な…!」
わなわなとベルフェゴールが怒りに震える。
いつも、こうやって言い負かしてはお引き取り頂くのだが、今日は違った。
怒りを抑え、ふっ、とベルフェゴールは、ニヤリと笑う。
「そう言えば…、小耳に挟んだのだが…。天使が魔界に堕りてきたとか…」
「……………」
いずれ知れるとは思っていたが、流石に耳が早い。
勝ち誇った様に笑うベルフェゴールに、僕はやれやれと内心溜息を吐いた。
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