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この日から旅行当日まで俺は楽しみで子供の様にワクワクして、何度も旅行バッグを開けては持ち物の確認なんてして、何だか学生時代の修学旅行を思い出した。
こんなに楽しみなのに、イチが毎日メールで早く行きたい、楽しみだなんて言うから、俺もワクワクが倍増した。
悩んでいた事なんて忘れて、ただひたすら連休を楽しみに、毎日の仕事に励んだ
『先生、車運転できたんですね』
「あー、免許はあったんだけど交通に便利なとこ住んでるからさ車必要なくて、持ってた車売ったんだよ」
『え? じゃぁしばらく運転してないんですか? 運転…大丈夫ですか?』
「失礼な奴だな、たまに親の車借りたりしてさ、腕が鈍らないように運転してるから大丈夫だっつーの」
俺達は車に荷物を積みながら他愛もない話をして、車に乗りこんだ
「シートベルトしろよー」
『先生…お母さんみたい』
「誰がお母さんだよ、せめてお父さんにしろ」
『先生の風貌じゃ…お父さんはちょっと無理がある…』
「何だって? あ、そうだ、街出るまで帽子被っておけよ、誰に見られるかわかんねーし」
『あ、はい』
返事をしたイチは帽子を深めに被り、少しシートを倒した。
道中、俺達は本当によく話、よく笑った。
少し寄り道して、お蕎麦屋さんでお昼ごはんを食べて、海沿いにあるソフトクリーム屋さんで1つソフトクリームを買って半分こして…
海に向かって二人で背伸びした。
「海…久しぶりだなぁ」
『地元じゃ海見えないですからね』
「夏なら入れたのに」
『あ、じゃぁ来年の夏来ましょう』
来年…そんな先の約束を当たり前のように口にするイチに、俺は素直に嬉しいと思った
「そうだな、来年は夏に来よう」
少し照れたように、微笑んだ俺を見て、イチも笑った。
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