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好きを見せて。11
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「とは言ったものの、何から手をつけるかな」
廊下を一人颯爽と歩く類は回りに誰も居ないのを良いことに小言を口に出す
「職員室には居なかったし…居そうなところはやっぱりあそこかな…」
重たい足を引きずり類は生徒指導室へ向かった
……………―
コンコン
「どうぞ」
生徒指導室の前まで来ると溜め息をつきながらドアをノックする
すると直ぐに中から声が聞こえドアの中へと足を進めた
「なんだ、お前か」
机の上に広がった書類とにらめっこする臨海は顔を上げ類の姿を捉えるなり目を細める
「探したぜ」
「ご苦労様だな、こんなところまで」
「他に聞かれる心配がなくていいだろ」
「…それで?何しに来たんだよ」
「大体のことはアンタなら想像つくだろ」
「さあ?分かんないな」
「何がしたいんだよ」
「何のことだ?」
類の質問を軽く受け流す臨海に眉間にシワを寄せるが溜め息をつき冷静になる
「啓ちゃんのことだよ」
「…なんだもう聞いたの」
「どういうつもりなんだよ、啓ちゃんがなんかしたのかよ」
「知っての通り何もしてないよ、聞いたなら分かるだろ?利用してただけだよ」
「っ…全部演技だったって?」
「そうだよ」
臨海は裏のないような笑顔で頷いてみせる
「アンタのこと、最初から好きじゃなかったけど…今回のことで確実に嫌いになったぜ」
「そ、残念」
「…本当は殴ってやりてぇよアンタなんか、けどどんな理由があったとしてもアイツは…啓ちゃんはアンタのこと嫌いになったりしねぇから殴らねぇよ今はな」
「友達思いでいいと思うよそれ」
「…ふざけるな」
一度臨海を睨み付けると生徒指導室を後にした
「嫌いになったりしない、ねぇ…若さって恐ろしいな」
「あ、類!」
「啓ちゃん…」
「お前5限目サボっただろ!教室に居なくて驚いたぜ」
「……」
「なんだよ、俺の顔なんかついてる?」
「いや…」
笑顔で笑ってるこの顔が嘘なんて感じには見えない…
けど、目元が少し赤くなってるので泣き張らしたんだって分かる
無理して笑ってる
「類?」
俺の前で強がる理由なんてないだろ
「啓ちゃん」
名前を呼ぶと類はギュッと啓をキツく抱き締める
それに驚き少し顔を赤くし抵抗しようとする啓は逃れることの出来ない腕の中で静かになる
「どうしたんだよ類…なんかあったんか?」
「なにもねぇよ」
なんか合ったのはお前の方だろ啓ちゃん
「そっかぁ…っても恥ずかしいんだけど」
「……」
「類?」
「啓ちゃん…」
我慢なんかしなくていい
「あのさ」
お前が俺の唯一素で居られる存在であるように…
「なんだよ…」
俺もお前が素で居られる存在になりたい
「ケーキでも食って帰る?」
「…、うん!」
心から笑っていて欲しいんだ…
啓から離れると頭を軽くポンポンとする類に照れたような納得のいかない顔でムッとする
その顔に笑いながら教室までの道を一緒に帰る
―――――――――…
「お疲れ様です阿久津先生」
「日向先生こそ…コーヒーありがとうございます」
職員室の机で書類を見つめる臨海に淹れたてのコーヒーをそっと置く
「こんな時間まで仕事ですか?」
「はい、最近遅刻する生徒が増えてきているので対策をと…」
「大変ですね…指導するのって授業を行うのより力を使いそうですし」
「そうですか?俺としては授業で教壇に立つ方がとても大変そうですよ」
「そんなことないですよ、ただ授業をするだけですし…それよりも生徒を粛清しないといけない方が疲れますよ」
「…何が言いたいんですか?」
心咲は机の上を整理しながら臨海に確信に迫らない会話をする
「生徒より…自分の方が大切な人には分かりませんか」
「はい?」
「阿久津先生には地位や名誉、利益の方が大切なんですか?」
「……」
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