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恋敵、現る?!(1)
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沖と松野クン、俺とフジで松○牛フェアへ行って、早数日がたった。
あれ以来、俺たちの距離は一気に縮まり四人でつるんでいる状態が続いている。
「ゆーうーきーっ!!」
そして俺はなんやかんやでこのウルサイ犬、沖に懐かれた、らしい。
「ぐっえ?!!ば、バカ沖っ、苦しい、離せバカ力…!」
毎朝の洗礼。
首に腕を回し、そのままきつく締め上げる。いわゆる、技、だよね?
直ぐに抱きついてくるこいつ。
力はつえーし、いてーし。俺、どーぶつニガテなのかも。
俺はさっさと沖を追い払って着席。
俺のそんな仕打ちに少しも動じない沖は、尻尾をふりながら俺の席の前にかけ寄ってきた。
「あのさあのさ!新作の萌え萌え☆ガールズ、買ったぁ?!!あれ、チョー!ヤバイんだって!!」
多分?つーか多分じゃなくても俺と沖の趣味がとてつもなく合ったから。こいつは俺に懐く?のかな。てか、こんな趣味合うヤツ初めてだし?まあ、前よりスゲー楽しいし充実してるのは間違いない。
「はー?当たり前だっての!俺なんか発売初日に買ったし?沖くんその話遅くね?」
あー、にやにやしちゃう。
ホント、こんな話誰ともしたコトなかったから正直スゲー嬉しい。今まで一人でもそれなりに楽しかったケド、やっぱし語れる相手がいるのはイイもんだよねとシミジミ思う。まぁ本人には言ってやらないけど?
「なーんだ、やっぱり知ってたかぁ。俺さ、昨日始めたばっかだから、全然ワケわかんないんだよねー」
ちぇっと唇を尖らせて悔しそうに話す沖。
はっ!俺の情報量の多さなめんなよ?お前とは格が違うんだってのっ。
なんだか優越感が沸き起こり、自然にドヤ顔してしまう。そんな俺に参ったのか沖は、見事なてへぺろを浮かべながら、自身の髪を掻く。
…たまーに、こいつJKみたいなんだけど?なんなの?ホントたまーに女子力感じるンだよね。なんなの??
「最初は慣れるまで結構大変かもな。つか、今回の新作は相当な難易度だから沖じゃムリじゃね…?ンまっ!俺は既に三人攻略したけどなー?」
ぷぷぷっと指を差して、からかう。
けどこいつは俺のこんな挑発に乗らないから少しつまんない。いーつも、ニコニコ笑やがる。変なの。
案の定、今回もこいつはふふっとキモイ笑いかたで俺を見つめてきた。キモっ!
「へぇ…、やっぱりゆうきは凄いなぁ。あのさ、そしたら今日俺の家に来て教えてくれない?ほら、明日休みじゃん?泊まりもオッケーだし??ね?」
ペラペラとよく喋る口。
へらりと笑う顔。
沖のヤツは本当にいつもへらへら笑ってる。変なの。それなのに、言葉はとても強引、強気?勢いがある?のか??なんか、圧倒される。ちょこっとニガテ。
「…はぁ?ヤダよ、メンドくせぇ。しかも今日はテレビでアイドルマ○ターの特集やるし?ちゃんとチェックしないとだし?」
ニガテでも断るケド。
断らない理由なんてあるわけない。
嘘じゃねぇよ?ホント。
…だってさここ二週間この新作のおかげで徹夜続きだったから、俺寝不足なンだよ。そろそろ今夜辺りはゆっくり寝たいンだもん。沖には悪いケドまた今度?いつか?まぁ、俺の気が向いたら?そもそも俺、人に教えるなんて向いてないと思うからさ?
「えー?!何それ!ひっどーい!!ゆうきは俺より、そっちの方が大事なのーっ??」
大袈裟なリアクションをする沖はぷーっと、頬を膨らまし、可愛く(見せようと)ぶりっこ。きっっも!!クソも可愛くなんて、ない。ゾゾゾって悪寒、鳥肌半端ない。見ろよ俺の腕、チキン肌じゃねーか!
「きっっもいから、ヤメロ。ガチで?分かる?」
こいつって世間で言う『男の娘』はいってない?見た目も、まぁ可愛らしい?容姿に見えなくもねぇし?面白いとは思うけどさ。
「えー?きもくはないでしょ!俺!なー、そこをなんとか!ねっ?今なら俺の大事なアイドルマ○ターの限定版特典映像見せるから!!」
パン!と俺の前に手を合わせてお願いするこいつ。え?ナニ?限定版特典映像??は?お前そんなの持ってたの??てか何で持ってんの??は?!えええ?!!
「ちょ…!どうやって入手したンだよ…!俺でさえ困難てか無理だったのに!!」
沖お前、何者?!アレはホントに入手困難!いや、その手の知り合いか関係者と繋がりなかったから手に入らない幻の特典!!俺が血眼になって、喉から手が出る程欲しかったヤツじゃねぇか…!!
「へへっ!実は俺の叔父さんがさ、そこの製作会社に勤めてるんだよねー!そのツテで貰ったんだよー。見たい…?」
うあー!スゲードヤ顔っ!!自慢気に笑うこいつがチョー腹立つ!シバき倒したくなるのを、我慢。つか羨ましい。なんだよ、お前の叔父さん俺にくれ。
「うん、見たい。チョー見たいデス」
コクコク何度も頷く。
当たり前だろーが。こちとら何ヶ月も探し回ってるンだっての。そんな暴言は呑み込む。媚び売っとかねーとだから。
「じゃあ答えは決まってるよね!今日はお泊まりけってーい☆」
わーっとバンザイの格好をしながら、口でパチパチと効果音を吐き出す。
……まんまと餌に釣られた気がしなくもないよね?でも、特典見たいし、まあ仕方ねぇなぁとぼんやり考える。なんだかバカ沖にしてやられた感が否めないのは勿論ムカつくけど。特典見たいから、それまでの我慢ガマン。
「…あー、ハイハイ。分かりましたy『駄目』」
ぽりぽりと頬を掻きながら、了承をしようとしたとき、バンっ!と机を叩く音とともに声が俺の言葉を遮った。
案の定、俺と沖は予期せぬ出来事に目を剥いて驚く。その人物の方へと視線が向けられる。
「……、おま…フジ?ビックリした…。日直の仕事は終わったのかよ?」
いきなりの登場にホントに驚いた。つか、机の音にもビックリしたし…。
それよかなんですか、この態勢っ。俺の背後から俺を挟む様にして立たないでくれませんかっ?!…妙に緊張するンだけどっ!!
「こいつは今日用事あるから無理」
そんな俺の言葉をさらっと無視し、フジは沖と会話。…!な、なンだよっ、テメェ!!俺の話を聞けよ!!つか何勝手に断っちゃってンの?!
「え?ゆうきは俺と遊ぶ用事だよ?てか…鹿目くんは関係ないじゃん?」
にっこりと笑う沖の顔はとてつも無く恐ろしい。無言の重圧?いや空気??すげー重くて俺が窒息死。…つか息し辛い。ナニコレ。
バチバチと何やら静かな火花を散らす二人。
何で怒っちゃってンの?ケンカ…だよね?コレ。つーか、俺悪くないよね…?今二人に話を振られたら死ぬンだけど。
ゴクリと固唾を呑み込んで暫く待機。
そんなこの威圧的な空気になんとも素敵な天の助け舟が!!
「こらこら、護もフジくんも喧嘩しない。波嶋くんが困ってるよ?」
二人の肩にポン、と手を置く強者…松野クン。……スゲー、この空気に入り込むなんて松野クンカッコ良い。つか、命知らず?いや何でもイイけどホント勇者。有難う。助かりました。
「マッツー…!鹿目くんが意地悪するんだよー!」
むーっと頬を膨らましてカワイク(きもく)怒る沖。……ダレ?
「………チッ。クソぶりっこが」
すンげー、黒フジさんになってガチキレのフジさん。…すみません、ココロの声が漏れてますけど?
「はいはい、いがみ合わないよー!それじゃあ俺の家で四人でお泊まり会しましよう!」
ぱんぱん、と数回手を叩くとニコッと笑う松野クン。…アレ?話聞いてなかったのカナ?
なんでその流れになるのカナ??ゆーきくんちょっとわかンないなー。
「……えー!ん?、まぁいいけどぉー…」
沖は少し不満気に唇を尖らせるが直ぐに頷く。…は?良くねーよっ!
「フジくんも勿論、行くよね?」
暫く黙ったままだったフジに話を降る松野。
……いや、そこはアレだよね。勿論、断るでょ?
「…今回だけだ」
ボソッと呟く声は、まさかのオッケー?!
はっ???!熱でもあるのかよフジくんこのヤローが!!…ワケわからん。つか特典映像のハナシはどうなったの…?
「それじゃあ決まりだね。今日は俺の両親も居ないから気にせずおいでよ」
へらっと笑うと楽しそうに声を弾ませる。
こんな風に笑うんだ、松野クン。なんだかクールなイメージだったけど全然違うじゃん。
そんな松野クンを暫く見詰めていると、ぱちりと目が合った。やべ、見過ぎだ。
すると、松野クンが俺の方へと駆け寄る。
そして、耳打ちをしてきた。…?!な、なんだろ?
「…実はね、俺、フジくんの事が好きなんだ。今日のお泊まりで打ち明けようと思って」
俺の耳に囁かれた言葉によって一瞬にして、俺の頭の中は真っ白。…へ…?今、なんて…。
「二人っきりになりたいんだ。…協力、してくれない?」
照れたように笑うその顔は、少しだけ可愛くみえた。…そうか、松野クンはフジに恋、してるンだ。
その瞬間、俺の背中は冷や汗がどっと流れる。イヤに手に汗を握る。ドクドクと、早まる心音。
頭ン中が、グルグル、回る。
ぐわん、と世界が、廻る。
視界が、歪む。
ナンダコレ。
ワケわかンなくて、ここんとこ、胸の奥が胸糞ワルくて。気持ち悪くて。
そんなココロに頭がついていかない。
…松野クンに何か言わなくちゃで、でも胸も頭もごちゃごちゃで。だから、なんにもこれっぽっちも言葉が浮かばなくて。
俺は何も返せずに居たんだ。
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